ビジネスのグローバル化に
デジタル変革が果たす貢献

――いま、国内の企業においても、ビジネスのデジタル化に向けた対応が喫緊のテーマとなっていますが、デジタル化は日本企業のビジネスカルチャーが抱えるそうした曖昧さなどの特殊性を解消し、グローバリゼーションを加速させるうえでの契機となり得るのでしょうか。

デロイト トーマツ コンサルティング
合同会社
執行役員 Digital Core Unit
伊藤 研一 氏

大手コンサルティングファームを経て現職。20年以上のコンサルティング業界経験において、主にオラクル製品をベースとしたBPR、Global導入、Globalファームとしてのソリューション開発などに従事。近年は日本オラクル社との戦略的アライアンス担当役員として、共同ソリューションの開発、GlobalレベルでのCenter Of Excellence活動などに日本の代表者として参画。IT系のみならず財務/管理会計、人事制度等のバックオフィス業務にも精通し、クラウドを利用したDigitizationをリードしている。

伊藤:もちろんその可能性は高いと思います。ビジネスのデジタル化においては、単にトランザクションの結果がデジタルデータとして保持されるというだけでなく、財務情報など経営上のあらゆる指標が可視化され、それはビジネスの成果の分析などに供されるものとなります。つまり、そこでは曖昧さが排除され、“白黒”をはっきりさせた、グローバルで通用するロジックに基づくビジネスの展開が促進されるわけです。一方では、デジタル化により導入が進むRPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)/ディープラーニング(深層学習)などの導入をきっかけとして、特にこれまでコスト削減要請に押されて滞っていた、経理などのバックオフィス業務の標準化に改めて取り組めることも企業にとっては非常に大きいと思います。

桐生:なるほど。BPRやプロセス標準化の取り組みについては、多くの企業が過去のいずれかの段階で、すでに実施済みであるにもかかわらず、いまだ問題点が散見されているという状況があります。そうした問題を解消するための業務プロセス標準の再定義を進めるうえで、デジタル化がいわば“錦の御旗”になり得るわけですね。

伊藤:その通りです。業務というのはさながら生き物のようなもので、ある時点でうまくいっている標準があっても、時と共にビジネスが変容する中、当然、陳腐化してしまうところも出てきます。変化したり、追加されたプロセスは、かつての標準に沿って構築したシステムでは対応できないため、企業ではそうした部分を人手でまかなっているというケースが少なくありません。ビジネスのグローバル展開はもちろん、昨今、要請の高まる働き方改革といった観点からも、そこはぜひ新たな標準を策定し、それに応じたシステム化を行って、業務の最適化、自動化を進めていく必要があるわけです。

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