投資対効果のみを判断基準としない
果断な投資によって成功を目指す

――デジタル化を重要な駆動力としながら、企業がグローバリゼーションに取り組んでいくうえで、いま言及されたコストの問題はどのように捉えるべきでしょうか。

中村:投資について検討するときに、経営者が専ら問題にするのは投資対効果だと思います。しかし、眼前の投資対効果にこだわった意思決定はもはや限界であり、経営として間違った判断につながりかねないものと思います。もちろん、投資対効果が厳密に求められる領域もあるでしょう。しかし、グローバリゼーションを促進する、あるいは従業員の働き方を変革するなど、長期的な展望に立って新たな取り組みを進めていこうとする際に、投資対効果に絶対的な判断基準を置くことは好ましいとはいえません。それがために、前に進むことができない企業は、グローバルでの躍進は望めないものと考えます。

[エグゼクティブ・インタビュー] デロイト トーマツ コンサルティング×日本オラクル果断な投資によるデジタル変革の推進がビジネスのグローバル化に向けてのカギ日本オラクル株式会社 常務執行役員
クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/EPMクラウド事業本部長
桐生 卓 氏

大学卒業後、大手外資系アプリケーションベンダーに入社。2009年日本オラクルに入社し、30代で執行役員としてFusion Middleware事業統括本部長に就任。2015年より常務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括ERP/EPMクラウド統括本部長として、SaaS事業戦略を牽引している。

桐生:確かにそうです。一頃、「ROI(Return On Investment)」がビジネス用語としてもてはやされましたが、以来、多くの日本企業がこの言葉に引きずられ過ぎてきた感があります。グローバルビジネスで成功している企業では、ROIをしっかり見るところは見ますが、いわば”遊び”の部分もある。あらかじめリターンが想定され得ないというリスクを取ってこそ、そこにイノベーション創出の芽もあるのではないでしょうか。

伊藤:そうですね。経営層、従業員が新しいものを柔軟に受け入れていくというマインドセットを醸成する意味からも、目先の投資対効果にとらわれない果断な投資を行っていくことは重要です。

【PR】