三菱自動車は2017年10月25日、新ブランドメッセージ“Drive Your Ambition”を世界に向けて発表した。電動化や自動運転の大きな波が押し寄せる時代に、ユーザーの走る歓びをどう考えるのか。その方向性を理解するうえで、実は重要なキーとなるモデルがアウトランダーPHEVだ。高効率SUVのプレゼンテーションである。報告/森口将之 写真/小久保昭彦

三菱アウトランダーPHEV Sエディション(4WD) 
価格:478万9260円 PHEVは2012年12月26日正式発表
15年に最新のフロントマスクへ変更/17年にバッテリー改良とSエディション追加

 2017年、三菱自動車工業はクルマの生産を始めて100周年を迎え、ルノー・日産アライアンスの一員になった。このタイミングで、三菱は新しいブランドメッセージ「Drive Your Ambition」を策定した。

 三菱は1917年に日本初の量産乗用車、三菱A型の製作を開始。80年代から90年代にかけては、パジェロ、デリカ、ランサー・エボリューションなどで次々に新しいカテゴリーの提案・開拓を実施。21世紀に入ってからは電動車両技術をリードし、豊かなクルマ社会の発展に貢献してきた。

 Drive Your Ambitionというメッセージは、「自動運転が注目される時代においても、独自の技術とデザインを積極的に採用」し、「走る歓びを追求して、もっと豊かなクルマ社会を実現していく姿勢を示している」とメーカーは説明する。

東京モーターショーに出展された最新モデル“エクリプスクロス”の予約がスタート 後方に新ブランドメッセージが見える
e-エボリューションコンセプトも東京モーターショーで話題を呼んだモデル SUVとEVに注力する将来の方向性を示す

 日本でいち早くプラグインハイブリッド量産車として発売されたアウトランダーPHEVは、このメッセージを象徴する代表格といえる。発表当時(2012年)は時期尚早という見方もされた。だが、その販売実績は日欧で14万台以上に達し、電動化のトレンドを牽引する1台になっている。

 プラグインハイブリッド車が充電可能なハイブリッド車という位置づけにとどまり、満充電でのEV航続距離が約20kmだった時期に、アウトランダーPHEVは大容量バッテリーを搭載して60km以上の航続距離を達成。その後のプラグインハイブリッド車のベンチマーク的存在になった。

 アウトランダーPHEVは、高いデザイン性も魅力。15年に行った大幅改良で、ダイナミックシールドという三菱独自のフロントマスクデザインを採用した。この新しい“三菱の顔”は、パジェロ、ランサー・エボリューションなどを参考に開発された、上質でスポーティなマスクである。

Sエディションはダーククローム調の18インチアルミやビルシュタイン製ショックアブソーバーを標準装備する最上級グレード
バッテリーと燃料タンクをシート下に収納して低重心化を図る 前後に配置した82psのモーター2基がトルク配分を最適化