インフラの安全性を維持するため、
点検作業をロボットで代替する
ロボット開発を担当した、新日本非破壊検査メカトロニクス部の和田秀樹部長(右から2人目)と担当社員
開発したのは、プラントの設備点検や鉄鋼製品の品質点検などを主な業務とする新日本非破壊検査(本社・北九州市小倉北区)だ。同社メカトロニクス部の和田秀樹部長は「2012年の笹子トンネルの事故を契機に、インフラの安全性を維持するため、人が容易に近付けない場所の点検作業をロボットで代替できないかという研究を始めた」と開発の経緯を語る。
同社の飛行型点検ロボットは、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業にも採択され、北九州市と連携しながら実際の橋梁でも実証が行われている。
「北九州市からは、実験・実証フィールドの提供や、インフラの維持管理を担う実務者との意見交換など、開発における重要な部分で多くの支援をいただいています。実用化に向けて課題はありますが、北九州市発の技術として、全国展開につなげていきたい」と和田部長は抱負を語る。
なぜ北九州市がロボットなのか? 同市はもともと安川電機やTOTOなど、ものづくり産業・ロボット関連産業の集積が進んでいるまちである。その一方で、高齢化も進む都市であり、ロボットなどの技術を活用した未来型の労働環境モデルの構築が求められている。そのため同市では、地元企業の技術の高度化を積極的に支援している。
同市産業経済局新産業振興課の新井章太・基盤技術担当係長は、「ロボット・IoT・AIの技術を上手く活用して生産性向上と従事者の負担軽減を図れば、より付加価値の高い業務に人材を集中することが可能になり、負担の少ない業務改善で高齢者や女性に新たな雇用機会を生み出すことにもつながります」と、ロボット産業促進のメリットを語る。