"鉄のまち"として栄えた福岡県北九州市は、ものづくり産業の集積地でもある。今、注目されているのは、人口減少の中、生産性向上の切り札として期待されるロボット関連産業。インフラ点検ロボットや産業用ロボットの分野で、画期的なイノベーションが起きている。

ものづくりの土壌が生み出すロボット関連産業の躍進天井に車輪を押し当てて走行状態になる 飛行型点検ロボット

 北九州市門司区にある旧風師中学校の柔剣道場、ここで飛行型点検ロボットの実証実験が行われている。コントローラーの操作によって、ドローンに搭載された点検ロボットがふわりと舞い上がり、車輪が天井に押し付けられ走行状態になる。このロボットは、ドローンの飛行機能によって点検対象に近付き、近接目視や打音検査を行うことができる。

 通常の打音検査は、人がコンクリートをハンマーでたたき、その音から異常部を見つけるという方法で行われる。このロボットは、特殊な機構でコンクリート面に打撃を与え、その音をマイクで拾い、音響解析によって異常部を探り出す。それによって浮きや剝離といわれる空洞を検出し、コンクリート片の落下などを事前に検知するのだ。

ものづくりの土壌が生み出すロボット関連産業の躍進(左)打撃をマイクで吸音、そのデータを打音解析して ひび割れや空洞などを検出する
(右)4連ピストン式打撃機構が、一定間隔で 連続的な打撃を行う