待ち・乗車時間も短縮
スーパー可変速システム

 さらに注目すべきは、三菱電機が独自開発した、エレベーターの待ち時間、乗車時間短縮を実現する、業界初の「スーパー可変速システム」を導入していることだ。

 簡単に言えば、かごと重りのバランスを利用して、乗車率に応じて運行速度を連続的にアップするシステム。エレベーターが無人の場合は、運行速度を通常より速くして、待つ時間を短くしてくれる。また、エレベーターが満員にならない限り、高速運転モードになり、目的地へ早く到着、乗っている時間を短くしてくれる。

 三菱電機ビルテクノサービス・昇降機新設事業本部主任の坂上峻介氏は、「エレベーターの利用時にイライラしてしまう2大要素は、長い待ち時間と遅い運行速度。“スーパー可変速システム”はその二つの不満を解消するもので、私たちは “デュアル高速運転”と呼んでいます。定格速度60メートル/分の場合、最高速度は105メートル/分までスピードアップできるため、このシステムを導入すると、平均速度は最大47%向上、待ち時間は最大22%短縮、乗車時間は最大33%短縮できるのです」と説明する。

 ちなみに高速運転が行われているときは、液晶インジケーターに「高速運転モード」の表示が出るため、普段は速度を意識しない乗客もその表示を見てスピードアップを実感できる。

 ビルやマンションのオーナーにとっても「スーパー可変速システム」はメリットがある。通常7階建てのビルの場合、定格速度60メートル/分の巻き上げ装置を使用するが、「スーパー可変速システム」は速度を乗車人数に応じてアップできるため、機器の小さな45メートル/分の装置でもほぼ同等の速度で運行できる。つまりエレベーターをより安価に導入できる利点があるのだ。

 「マンションでは上層階の住人にとっては、速度は速い方がいい。またホテルでもチェックイン、チェックアウトの時間は、スムーズなエレベーターの運行が求められます。“スーパー可変速システム”は、そうした建物で非常に有効になります」(坂上氏)