それまでコールセンターといえば問い合わせやクレームへの対応といったCS(カスタマーサービス)が主な業務でしたが、変化の流れに対応するためにコールセンターをマーケティング・プラットフォームとして積極的に活用する考えが出てきました。たとえば保険会社に資料請求を行った見込顧客といかに契約し、優良顧客として育てていくかといったことや、通信販売会社が既存顧客に対してどうやってクロスセルやアップセルをしていくかといった展開がこれに当たります。

 そこで特に重視されたのは、「見込み顧客→新規顧客→優良顧客」という購買プロセスのうちの後半部分でした。そのためITで可能となった顧客データベースの構築や顧客の評価(スコアリング)、購入履歴からの傾向分析といった領域が重要視されていました。

 これに対してソーシャルメディアでは見込顧客への販促活動や既存顧客とのリレーション強化という活用方法もありますが、今は購入プロセスのなかで見込顧客よりもさらに前の潜在顧客と接点も持ち、対話を通じて少しでも知ってもらい、好きになってもらうという活用方法が有効であるように私は感じています。

 もちろん、顧客対応という点ではCRMでもソーシャルメディアでも必要とされる基本的なスキルは同じです。TwitterやFacebookが急速に普及してきた頃、たくさんの企業の方から「どのように対応したらよいか」と相談を受けましたが、「コールセンターで顧客の対応をしているノウハウを活用してみてはいかがでしょうか」と私は返答していました。部門が異なるという社内事情も場合によってはあると思いますが、せっかく社内で蓄積したノウハウを生かさない手はないでしょう。

 一方でコールセンターを受託する事業者も、もっとソーシャルメディアに積極的に対応すべきだと私は感じています。彼らにもコールセンター事業者として顧客とのコミュニケーションで得た知見があり、それはソーシャルメディアにおいても生かせるはずです。先日、私がかつて在籍していた、もしもしホットラインがソーシャルメディアを活用したサービスを本格化するという記事を見かけましたが、CSやCRMの知見を充分に蓄えているコールセンターが今後ソーシャルメディア領域でどのような活躍を見せるのか非常に楽しみにしています。

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人とテクノロジーの役割

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