マーケティング集中講座もいよいよ今回がラスト。最終回では、現代のマーケティングにおける変化の象徴ともいうべき「ソーシャルメディア」について取り上げるとともに、マーケティングの「これから」についても考えてみたい。
実名・顔出しで顧客と社員が
対話するJALのFacebookページ
みなさんはFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを利用されていますか?
Facebookは2004年に、Twitterは06年に米国で開始されたサービスですが、現在はグローバルで多くの人たちが利用しています。日本国内でもユーザーは増加しており、ネットレイティングスによると、Facebookの利用者数(PCからの利用)は11年8月に1000万人を突破したそうです(ニールセン・ネットレイティングス提供のインターネット利用動向調査「NetView」2011年8月データより)。
また、先日ソーシャルメディアの世界的なイベント「Socila Media Week」(主催:サイバー・コミュニケーションズ)も日本で初開催され、ソーシャルメディアを利用した企業のさまざまな取り組みなどが紹介されました。
一方で「企業としてソーシャルメディアをいかに活用するか」という課題に、「ソーシャルメディアって結局何なのだろう」「マーケティングにどうやって生かせばよいのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
実際の事例を見ながら、企業としてソーシャルメディアを利用するうえでのポイントを見ていきましょう。
これは日本航空(JAL)の公式Facebookページです。今年1月31日に同Facebookページの「いいね!」が30万件を突破し、第5回企業ウェブ・グランプリではソーシャルネットワーク部門でグランプリを受賞しました。まさに企業のソーシャルメディア活動の成功事例といえるでしょう。
先月、東京、大阪、福岡で講演を行う機会があり、その際JALの方にこの事例についてお話しいただいたのですが、その内容にとても感動しました。なぜならこのソーシャルメディア上の取り組みのなかには「ブランドの姿勢(スタンス)」が表現されており、企業がブランドのあるべき姿を示すうえでお手本になると感じたからです。
JALは2010年の経営破綻後、稲盛和夫氏を会長に迎え、社名ロゴをかつての「鶴丸」マークを生かしたものに一新。全社一丸となって企業再建に取り組んでいます。私は常々「こうした状況にある企業のコミュニケーションでは、社員が信頼回復に努めている姿をそのまま伝える必要がある」と考えていたのですが、JALがFacebook上でそのような取り組みを行っていることを知り、マーケティングに携わる者としてその活動に注目するようになりました。そしてその後、より具体的なお話を聞いたことで、私は一個人としてすっかりJALのファンになってしまったのです。