「ITに多額のコストをかけているが、投資に見合った効果は出ているのだろうか」──多くの経営者が抱くこうした疑問の解消を1stホールディングスは目指している。企業の情報活用を革新する独自のソフトウエア製品群の提供を通して、情報を誰でも使いやすくし、ITを価値あるものにするという同社の取り組みについて聞いた。
代表取締役社長
情報は、ヒト、モノ、カネと並ぶ重要な経営資源といわれて久しい。だが、人材やコストの問題には積極的に関与する経営者でも、ITとなると「よくわからない」という理由で、外部のシステム開発会社などに任せきりになりがちだ。
その結果、ITがブラックボックス化し、システムをつくる開発会社側の都合が優先され、システムを利用する企業側にとって使いにくいものになる。経営判断や現場の業務に必要な情報をうまく入手できず、「本当にIT投資を続ける価値があるのか、疑問に思う経営者も少なくないはずです」と、1stホールディングスの内野弘幸社長は指摘する。
情報活用に欠かせない
わかりやすいアウトプット
経営判断に役立つ情報活用のあるべき姿はどのようなものなのだろうか。例えば、「今月は販売が好調なので、生産を増やそう」というように、市場の動向を肌で感じ取ることはよくある。このような経営者や現場担当者の経験に基づく仮説を裏付ける具体的な情報(数値)をシステムで明示できれば、原材料の仕入れや生産体制など的確な経営判断が行える。
こうした情報活用で重要になるのが、わかりやすい「アウトプット」である。1stホールディングスでは、情報のアウトプットに注目した帳票基盤ソリューション「SVF」を提供。伝票や請求書などを出力する帳票システムに特化したソフトウエアで、従来業務ごとに分断されていた帳票システムの一元化や導入後の拡張性が評価され、市場で高いシェアを持つ。
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また、データ活用ソリューション「Dr.Sum EA」は、企業内の各業務システムに蓄積されたデータを集計・分析し、レポートのかたちでアウトプットする。さらに、いつでもどこでも欲しい情報をわかりやすく伝える情報活用ダッシュボード「MotionBoard」を提供。これらを活用して企業内の情報の見える化をサポートする。
例えば、営業部門の目標達成に向けて販売データなどをわかりやすく示すことで問題意識を持たせ、次のアクションを起こす。こうしたユーザー主導の情報活用を促進するため、業務ニーズに応じてシステムを柔軟に変更できるようにしていることも、同社の製品の特徴だ。「だれでも情報を使いこなし、ITを価値あるものにしたい」という思いが根底にある。