このように、今回のシンポジウムで最も議論が盛り上がったのが、独立系運用会社・投資顧問への偏見の問題である。筆者もこれまでの連載で繰り返し述べてきたように、大手金融機関のコングロマリット化は利益相反の温床である。
また、東京金融市場の活性化や企業金融の円滑化のためには、独立系運用会社を含む多様な市場参加者の存在が必須である。にもかかわらず、政・官・財界が、今回の事件を契機に、「寄らば大樹の陰」とばかりに安易に大手金融機関への依存を進めるようなことがあるとすれば、金融立国どころか、亡国の危機である。
論点4
年金の分散投資に対する誤解の問題
最後の論点は、年金の分散投資のあり方、特に代替投資についての誤解である。
①年金基金を社会保障の一環と捉えるなら、税金の一種を積み立てているのであり、それで国債に集中投資するのは、財政規律を緩め財政悪化を加速することになる。労働分配の一環と捉えるなら、その財政的基礎は国民の生産に依拠すべき。年金が国債に集中投資し、産業育成のためのPE(プライベートエクイティ)やVC(ベンチャーキャピタル)に投資しないのは論理矛盾だ(地引氏)。
②世界的に代替投資へのニーズは高まっており、独立系の運用会社の存在は不可欠(山内氏)。
③代替投資の比率が高い年金基金に是正の指導をしようという厚生労働省の考え方は、世界の趨勢に逆行している。逆に、法令で代替投資への投資比率を高めるような政策こそが取られるべき(筆者)。



