データの一元化こそがデジタル変革の出発点
日本マイクロソフト 執行役員常務
パートナー事業本部長
1987年ソニー入社。民生機器営業部門に所属、北米やヨーロッパなどの拠点で活動し、2012年ソニーアメリカ副社長。2014年に日本マイクロソフト入社。2016年コンシューマー&パートナーグループ担当執行役員常務に就任。2017年8月より現職。
――マイクロソフトは以前から、Office 365とのコラボレーションなどBoxとの連携を強めてきました。昨年、Azureとの連携に至ったのには、どのような思いがあったのでしょうか。
高橋 BoxのサービスをAzure上で提供することで、新しい価値をユーザーの方々に提供できることに可能性を感じました。以前、当社のエグゼクティブバイスプレジデントであるスコット・ガズリーも言及していましたが、Boxとの連携強化によって、企業のお客さまのデジタルトランスフォーメーションをより強力に推進できると考えています。
ご存じのように、マイクロソフトは先端的なプラットフォームやサービス、デバイスなどの提供を通じて、企業のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)を支援することを目指しています。膨大かつ多種多様なデジタルデータを活用してビジネスを変革していくためには、データの一元化というプロセスが欠かせません。
あらゆるコンテンツをひとつに集約できるBoxは、一元化を促す優れたプラットフォームですし、それをAzure上で提供すれば、双方のテクノロジーの融合によって、よりよいサービスが実現します。その結果、マイクロソフトが目指す企業のデジタルトランスフォーメーションがますます加速するのです。
――データの一元化によって、企業は具体的にどんなメリットを得られるのでしょうか。
古市 Boxに保存したデータを共有する際、ファイルそのものではなく、リンク先を伝えることになるので、より強固なセキュリティが実現します。
たとえば、ファイルそのものをメールに添付すると、送ったその先の管理ができません。思わぬところに転送されたり、まき散らされたりする危険があります。まるで糸の切れた凧のように、コントロールが効かなくなってしまうのです。それに対してBoxを利用すれば、ダウンロード不可の権限のURLリンクを共有するなど、きめ細かいコントロールが可能です。
高橋 リンク先を添付する方式なら、重いファイルを送ってネットワークに負荷を掛けることもありませんし、何よりやり取りがスムーズになります。社内外のコミュニケーションをより活発にしてくれるはずです。
すでに米国や韓国ではリンク先の添付が当たり前となっており、日本はやや遅れていますが、そうした業務スタイルもBoxの普及によって変わっていくのではないでしょうか。
――具体的に、今回の両社の連携強化は、これまでと何が異なるのでしょうか?
古市 まず、企業への販売に関して、マイクロソフトがAzureなどのクラウド製品を販売する際にBoxをいっしょにセールスしてくださるという点です。共同販売(Co-Sell)と呼んでいますが、ここまで踏み込んでいることは画期的です。
効果はすでに表れています。マイクロソフトのクラウドユーザーで、ファイル共有基盤をBoxに統一した企業では、統一後、短期間のうちに共有されるデータが急増しています。Boxの利用によって、ビジネスが活性化されているということです。
高橋 それは素晴らしいですね。弊社としても、Boxの利用企業である世界有数の企業に対して、マイクロソフトのクラウド製品を紹介できることに大いに期待しています。マイクロソフト製品がカバーしていなかったビジネスユーザーのクラウド基盤としてAzureをご紹介し、提供できる機会が得られる点で、今回のBoxとの連携は極めて重要だと思っています。