「働き方改革」のカギを握るのは情報共有
――今回の連携は、今後どのように発展していくのでしょうか。
古市 将来的にマイクロソフトとの連携によって実現できるサービスの代表例が「Box Skills」です。
これは、Azureなどの機械学習ツールを活用して、Box上に保存されている画像や動画、音声データなどのコンテンツを解析し、インデックス(タグ)を作成したり、感情分析などを行ったりできるサービスです。
この連携が実現すれば、画像や動画に映し出されている顔の表情から「怒っている」「笑っている」といった感情を読み取ってタグ付けしたり、音声データ化された声のトーンから感情を読み取ったりすることができます。たとえば、コールセンター業務での顧客対応記録や接客の研修用などに利用できるのではないでしょうか。
高橋 Box Skillsは、まさにBoxとマイクロソフトの先端テクノロジーが融合して誕生した新サービスだと思います。もちろんこれ以外にも、両社の連携によって「できること」はいろいろあります。今後の展開が楽しみですね。
古市 当社はAzureを利用してサービスを提供するユーザーでもあるわけですが、その立場から言えば、Active Directory(ネットワーク上のパソコンなどを一括管理するシステム)やInformation Protection(文書やメールなどをラベル分類して保護するシステム)といった、ビジネスの世界では標準ともいえるマイクロソフトならではのサービスが利用できることも大きな魅力です。
何より、ワールドワイドにプラットフォームを構築しているAzureは、同じく世界のユーザーにサービスを提供しているBoxのプラットフォームとして最適だと思います。
――マイクロソフトは、そのサービスを通じて企業の「働き方改革」支援にも力を入れています。Boxとの連携は、「働き方改革」を目指す企業にどのようなメリットをもたらすでしょうか?
高橋 Boxは、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末など、あらゆるデバイスから保存されたコンテンツを閲覧・利用できるので、場所や時間を問わず仕事ができます。その意味でも「働き方改革」にはおおいに役立つはずです。
また、チーム内や部内、社内の全員が同じ情報を共有し、上司や部下といった階層の分け隔てのないフラットなコミュニケーションが実現することによって、戦略作りや意思決定のスピードも高まると思います。
古市 情報が社員ごとに分散していた時代は、「情報を持っていること」がその人の存在価値であるかのように思われてきました。これからは、「情報をオープンにして使うこと」が求められるようになり、それを推し進める会社が伸びていくはずです。
――高橋さんは、Box Japanが主催して2018年6月6 日にザ・プリンスパークタワー東京で開催されるBox World Tour Tokyo 2018(BWTT)で講演をされます。どのようなお話をされるのでしょうか。
高橋 Boxとマイクロソフトの連携によって、企業のデジタルトランスフォーメーションや「働き方改革」をどのように支援できるのか、具体例をふんだんに織り交ぜながら紹介したいと思っております。ぜひ、ご期待ください。
――最後に、両社の今後の抱負についてお聞かせください。
古市 マイクロソフトとの連携を通じて、日本企業がデジタルソリューションをもっと積極的に活用し、競争力を高めることを支援していきたいと思います。
高橋 まったく同じ気持ちです。ITはコストととらえられがちですが、むしろ戦略的なツールとして活用していただきたいですね。