アパレル大手・オンワードグループのオンワードパーソナルスタイルが、2017年の11月からスタートした「KASHIYAMA the Smart Tailor」。カスタマーにオーダースーツを、より身近に感じてもらえる工夫を随所に取り入れた、本サービスを関口猛代表取締役社長に聞いた。
納期は最短で約1週間、価格は3万円から
ショールームは2軸で展開
オンワードパーソナルスタイル
代表取締役社長
「体型に合ったスーツを着るだけで、ビジネスパーソンとしてはもちろん、ホテルやレストランの対応も変わる」と語る関口社長。自身のこだわりでもある“アンダーステイトメント=控え目な表現”なスーツスタイルを実践する
オーダースーツと聞くと、注文してから時間がかかるうえに価格も高額で、しかも何をどうオーダーしてよいのか分からず、とにかくハードルが高いイメージを抱く方も多いのではないだろうか? しかしながら、昨年11月からオンワードパーソナルスタイルが展開する「KASHIYAMA the Smart Tailor」は、納期は最短で約1週間、価格は3万円から。さらに20年以上のキャリアを持つ熟練のフィッターが約8割という豊富な人材を生かして、顧客の好みを反映させながらも最適かつ、グローバルスタンダードな一着への道筋をしっかりとガイドしてくれる。しかも二着目からはWEBサイト上から採寸なしでもオーダーが可能。一度でもスーツをオーダーしたことのある方であれば、この納期の短さと値頃な価格の設定で手軽に自分に似合うスーツが手に入るという事実に、少なからず驚きを覚えるはずだ。
スーツのオーダーは、全国に展開する13カ所の既存店に加え、注文主の都合の良い場所や時間にフィッターが出向いて採寸も行う出張採寸によって、カスタマーにとってより身近なものになった。これは、同グループが長年に渡って培ってきた訪問販売の歴史のたまものと言える。さらに注文服の敷居をさらに下げるべく、6月から新たな取り組みをスタートさせる。
まず、銀座や秋葉原等のオフィス街やアクセスの良い場所への出店と、18年下期から始まるベッドタウンへの展開。それに加え、仙台・名古屋・広島などの同社の支店の一部をショールームとして全国展開するという2軸のプロジェクトだ。ともに少ない予算で店舗数を確保できるため、より多くの顧客のニーズに対応しながらも、高品質で低価格のスーツを提案できる可能性の広がりを示唆している。
オーダースーツといえば、銀座などの一等地で注文する特別なものや、いわゆる“町の仕立て屋さん”で作る背広然としたもの、というのがこれまでのセオリーとされてきた。前者は高額で、後者はともすると時代性のないものになりがちだ。そのうえどちらも納期に時間がかかる。しかし「KASHIYAMA the Smart Tailor」であれば、自宅から会社までの導線や自分の好みの場所・時間、そしてショールームの拡充によってオンワードグループの支店がある日本全国で、自分の体型や好みに寄り添いながらもグローバルスタンダードな一着が、気軽に注文できるようになる。これはまさに、オーダースーツビジネスのイノベーションとも言える取り組みなのだ。