社会におけるデータ利活用の
実際を学ぶセミナーも開催
データサイエンス学部の第一期生は65人。このうち、一般選抜入試の定員45に対し、前後期日程合わせて410の応募があった。競争率は9.1倍であり、全国でも有数の志願倍率となった。合格数に対する手続き率も90%超と非常に高く、データサイエンス学部を第一志望とする優秀な学生が集まったと関係者一同、喜んでいるが、来年度以降もこれを継続していけるよう努力していく。
65人のうち、男子学生が41人、女子学生が24人。文系出身者が18人、理系出身者が47人となっている。各地の高等学校を訪問したり、オープンキャンパスを開催するなどして、事前のPR活動に努めたが、高校の先生というよりは、むしろ学生の親のほうが、興味・関心が高かったようだ。企業社会でこれだけデータサイエンスが話題になっているのだからと、親に勧められて志願したという学生の声も聞く。
やる気のある学生が多いとはいえ、データサイエンスとは何か、あるいは社会においてデータサイエンスがどのように役に立っているのかを知っている者は少ない。そこで、第一期生向けに、月2回ぐらいのペースで「データサイエンスセミナー」を開催している。これは本学と連携協定を結んだ企業や官公庁などから講師を招き、社会におけるデータ利活用の実際について解説してもらうものだ。
第一期生にとって、数学やコンピュータの基礎をしっかり学ぶことはもちろん重要だが、データサイエンスを実社会で役立てる場面がいかに存在するのかを知ってもらうことで、勉強への意欲を高めてもらうのが狙いだ。
連携協定先には、インテージホールディングス、マイナビ、サントリーMONOZUKURIエキスパート、全日空商事、横浜市などがある。これらの企業、自治体とは、データサイエンスセミナーの開催以外にも、インターンシップや共同研究の実施を予定している。“生きた教材”としてのケーススタディの提供にも期待したい。横浜市については、2017年3月に成立した「官民データ活用推進基本条例」に基づいて、協働・共創を深めるとともに、各区局と交渉を進めながら、政策形成におけるデータ活用をバックアップしていく方針だ。
産官学連携の取り組みは、決して焦ることなく、徐々に広げていけたらと考えている。本学として最も重要なのは学生に対する教育だ。卒業後に、ビッグデータから新たな価値を生み出すようなデータサイエンス人材の育成がメインである。そのために、教員体制や研究施設の充実についても今後は尽力していきたい。