公認会計士の本質はAIに代替できない

──AI活用の進化により、会計士の業務範囲が狭まるという論調もありますが……。

関根 「AI代替論」ですね。それは、一面的なものにすぎないと考えています。代替されてしまうというよりもむしろ、公認会計士がAIを活用して得られるメリットの方が大きいのではないでしょうか。

 近年のITの発達により情報量が飛躍的に増大した結果、監査業務にて行う作業も膨大なものとなっており、こうしたチェック作業や異常値の検出といった部分は、本来ITで対応すべきものです。既にそのような対応が進められてはいますが、現在はその過渡期にあるといえます。今後はそれらをAIが行うことになれば、公認会計士は本来行うべき仕事に集中でき、これまで以上に、関与先と丁寧に向き合えると考えています。

 公認会計士が行う監査業務は、決算書類が正しく作成されていることを判断するために企業の情報を確認する作業が必要となりますが、それらを踏まえた職業的専門家としての分析や洞察、判断を行い、経営者との議論を行っていくことが重要です。これらは、まだまだAIが代替できるものではなく、AIを活用することで、単純作業に忙殺されずに本来行うべき作業に集中できるようになると思います。

公認会計士は女性が活躍しやすい職業

──ところで、関根会長は初の女性会長としてご活躍ですが、女性として会計士という仕事のメリット、可能性をどう見ていますか。

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関根 公認会計士の活躍フィールドは多岐にわたり、男女を問わず活躍できる職業です。その一方で、忙しいイメージがあるためか、公認会計士試験における女性の合格者比率は約20%と、国際的に見てもかなり低い割合です。

 確かに、現在の公認会計士業務は過渡期ということもあり、かなり忙しい状況です。特に最初の頃は監査チームの中で働くことが多く、結婚や出産、育児などの様々なライフイベントがある中、働き続けるのは難しいと考えられがちであり、実際に途中で辞めてしまう方もいらっしゃいました。