豊富な知見に基づく実践的アドバイスが強み

 最初のステップとして取り組むべきは、「インフラ整備」に関わる3項目だ。

「日本企業の多くは、海外子会社の税務を現地に一任しているのが現状です。ポストBEPSの世界では、それは通用しません。日本本社が主導して各国の税制改正や税務調査の動向について情報収集を行うとともに、各国の税務ポジションを“見える化”し、一元管理していくような仕組みが不可欠です」(駒木根氏)

 BEPSプロジェクトの最終報告書を契機に、インフラ整備に着手する企業も増えているという。

 一方、数百人規模の専門スタッフを擁する欧米企業に比べて、日本企業の税務部門は大きく見劣りし、社内リソースは限られる。グローバル・タックスマネジメントの実現に当たっては、シェアードサービスやアウトソーシングなど、外部のリソースを戦略的に活用することも重要だ。

「グローバル企業へのさまざまな税務管理・国際税務サービスの提供により培った豊富な“臨床経験”に基づいて、日本企業のニーズや実態に応じた最適な“処方箋”を書けるのがわれわれの強みです。ハイエンドなプランニング業務からコンプライアンス業務まで、実践的に日本企業をサポートします」(角田氏)

 グローバル税務のプロセス管理を行う「LINK360」や、基幹システムと連携し、税務データをリアルタイムで分析する「TIS(Tax Intelligence Solution)」など、インフラ整備を支援するITツールの開発・提供もKPMGならではのサービスである。社内リソースが限られた日本企業にとっては、導入の余地が大きく、これを契機にグローバル・タックスマネジメントの第一歩を踏み出したいところだ。

「税引後利益の拡大に効果をもたらすグローバル・タックスマネジメントは、真のROE経営を実現するためにも必須の施策です。経営マターとして、CEOやCFO(最高財務責任者)が自ら率先して全社的な意識改革を進めていただきたい」。駒木根氏はこう締めくくった。

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