日本の航空会社初の国際医薬品
輸送品質認証
清水 拓 グローバルセールス部
グローバルセールス企画課 課長
清水拓・ANAカーゴグローバルセールス企画課長は「例えばB777-Fの導入で大型の完成車や半導体製造装置を運べるようになりますが、運べるだけでなく、運ぶための繊細なノウハウをあらゆる商材に展開して、日本品質でお届けできることに意味があります」と言う。
その象徴が、日本の航空会社では初めて医薬品輸送の国際品質認証「IATA CEIVファーマ認証」を取得したことだろう。IATAが策定した医薬品輸送の適正取り扱い監査項目は約250にも上るが、ANAカーゴは成田空港で高い品質管理体制を構築した。まさに新たな「日本品質」が誕生した。
供用開始から10年を経た沖縄ハブの進化も続いている。アジアの主要市場に4時間で飛べる地の利と、24時間運用が可能なことから沖縄ハブは、流通拠点となる施設の拡充や、市場に合わせた柔軟なネットワーク構築を進めている。
またユナイテッド航空やルフトハンザ航空とのジョイントベンチャー、日本貨物航空との戦略的業務提携など、輸送ネットワークの厚みが増している。
ボーイング社の「国際航空貨物予測」によれば、アジア―北米間の航空貨物輸送は、今後20年間、年率4・6%の増加が予測されている。成長著しい中国内陸部での自動車部品や、アパレル商材の縫製地として新興著しいカンボジアなどで、充実したネットワークを求める動きが強まるだろう。「越境EC」が増加するのも確実だ。
政府は20年までに、羽田空港の離発着回数を年間約3・9万回増やす計画だ。また成田空港ではB滑走路の延伸とC滑走路の新設が計画され、年間の発着回数を20万回増やす。
「行政面での動きと、私どもの多様な輸送手段やネットワークの提供は、物流担当の皆さんにまったく新しいアイデアによるサプライチェーンの構築を可能にするものだと思います。国際航空貨物が特別な手段ではなく、当たり前の選択肢になる時代が始まっているのです」(杉口氏)
航空会社別の貨物搭載量では、ANAカーゴは現在、世界9位だが、早い段階で5位を目指す目標を掲げている。