25ミリメートル厚の素材加工も
可能な最新鋭ファイバーレーザ加工機

 そんなアマダが現在、注力しているのがレーザ加工機の拡充と、IoTによるものづくりを先導する「V-factory」の推進だ。

​ レーザ加工機の拡充は、板金加工分野におけるパンチプレス投入以来の大きな革新への挑戦となる。レーザ加工機は、レーザで鉄の板を切断、穴開けする板金機械だ。金型による加工機に比べて加工の自由度が高く、段取り替えの手間がなく、消費電力が少ないなどのメリットがある。

 そもそもレーザ加工機は、薄板の高速加工や自由形状の加工を得意とし、多品種少量生産時代の牽引役とされてきた。アマダは80年には「CO2レーザ」の加工機を先駆けて開発。現在は、より進化したファイバーレーザの「ENSISシリーズ」の性能向上に注力している。

 ​ 最新鋭機ではレーザ出力の向上により、薄板だけでなく厚板まで切断できるようになった。発振出力が9キロワット機では25mmの厚板まで切断でき、作業効率はCO2レーザの約4倍、消費電力は7割ほど削減できている。さらにレーザを反射するためにCO2レーザでは切断できなかった銅、アルミニウム、チタンなどの加工もできる。

ファイバーレーザとIoTで次なる「ものづくり革新」をリードするアマダの代表的な金属を加工する板金加工マシン●ENSIS-3015AJ
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 それを可能にしたのが、自社開発したレーザ発振器と、鉄の板の厚さによって透過性の良いレーザビームの形状を自在に創り出す「ENSISテクノロジー」だ。 「板金加工の分野でのファイバーレーザ加工機の普及率は、北米ではほぼ100%、欧州では80%前後になっていますが、日本ではまだ約60%。今後、加工部品の付加価値の向上や競争力を確保するためにもファイバーレーザ加工機の普及拡大は喫緊の課題であり、そのための販売施策の拡充にも努力したいと考えています」(磯部社長)

ファイバーレーザとIoTで次なる「ものづくり革新」をリードするアマダの代表的な金属を加工する板金加工マシン●HG-1003ARs
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