三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)では、自社を対象にした退職予兆モデルの実証実験を通じて「個の人材マネジメント」の実践的な知見を蓄積。総合コンサルティングファームとして社員の定着と生産性を向上させる人事施策と業務・ICT施策を幅広く推進している。
シニアコンサルタント
小山厚郎
人は、ある日突然会社を辞めるわけではない。退職を決意し行動に移すまでには、必ず何かしらの予兆段階があるはずだ。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)では、データアナリティクスを活用してその退職予兆モデルを抽出、定着率を向上させ、社員のポテンシャルを最大限発揮できる施策を提供し"個々人に合わせた人材マネジメント"の実現を支援している。
「退職予兆モデルとは、簡単に言うと、"どういう人が、いつ頃どういう行動・環境で退職に至りやすいか"をモデルとして抽出することです。そのためには、退職要因の仮説設定の精度と、仮説を検証するためのデータの有無の両方が重要になります」
そう説明するのはヒューマンキャピタル部の小山厚郎シニアコンサルタントだ。
退職防止には、
予兆分析と個々人に合わせた施策が重要
具体的には、性格傾向やコンピテンシーなど個々人の属性と、定常時と退職の予兆発現時における行動と環境、という3要素の分析を行う。例えば、出退勤時刻や残業時間の変化、評価や異動、昇給や昇格の有無、休憩時間の変化などが分析対象データとなる。
「上司の評価が低く、直近で賞与が下がる、朝の出勤時間が乱れ、帰る時間も安定していない、社内外ネットワーク(メール交流数)が少ない、資格を多数保有している、などの要素から退職予兆の影響仮説を立て、検証していくのです」(小山氏)
MURCのコンサルティングの特徴は、社員の定期モニタリング・個別アラートを実施するとともに、人事担当者や上司が行うべき定着施策までトータルに提案することにある。いわば、定着度向上サイクルを円滑に回せる体制づくりを提案するのだ。
プリンシパル
春日丈実
定着率を向上させ個々人の活躍を促すためには、人事施策に加えて生産性向上につながる業務改革や、オフィス(業務環境)やITツール(インフラ)の見直しも重要になる。業務ICTコンサルティング部の春日丈実プリンシパルは、こう説明する。
「パソコンでの作業や電子メールの使い方、スケジュールの入れ方や会議の実施方法についての分析はもちろん、IoTの技術を使えば、オフィスにおける働き方も可視化できます。社員がカード型のセンサーを携行すれば、社員間・部門間のコミュニケーションも可視化でき、人材定着や人材活躍につながるさまざまな改革ソリューションが実現できるのです」