そこで重要となるのが、社内の情報システム部門や外注会社にシステム構築を丸投げするのではなく、経営者自らがITシステムの現状と問題点を「見える化」する指標を持つことだ。まずは「見える化」を実現した上で、新たなデジタル戦略をビジネスの観点から描き、IT投資バランスを最適化する必要がある。もちろん最新のITを用いることで何を成し遂げられるのかを理解し、推進できる人材を登用していく必要もあるだろう。
最近では、はやりに乗り遅れるなとトップダウンで始めたAI(人工知能)プロジェクトがことごとく頓挫しているという話もよく聞く。AI、IoT、クラウドといった先進テクノロジーもビジネスの中でどのように活用できるのかというビジョンが伴わなければ意味はない。
企業にとってDXの価値は、新たなビジネスの価値をどれだけ創出できるのかにかかっている。あらゆる企業が「デジタル企業」への変革を迫られている今、経営者には自社のIT化の現状を理解した上でのDXへのビジョンが求められている。