「リアルとウェブの融合」を掲げるアイルは、基幹系の業務ソリューションと、ウェブ系の業務・販促ソリューションを融合させ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。実はIT事業者といっても、基幹系のシステム開発事業者とウェブ事業者はジャンルが異なる。そのため「ありそうでない」両分野のソリューションを自社開発していることが同社の強みだ。近年ではウェブ対応も、取引先とのECサイトを構築するBtoBニーズが多く、同社のソリューションは注目を集めている。
「2018年はDX(デジタルトランスフォーメーション)元年」と語るのは、アイルの岩本哲夫代表取締役社長だ。同社のソリューションへの問い合わせの多さから「ユーザー企業さま自体が、リアルとウェブのデジタル結合を強く望んでいる」と感じているという。さらに、リアルとウェブの融合はまさにDXに他ならないというのが岩本社長の主張だ。
岩本 哲夫 代表取締役社長
「DXに関しては抽象的な話が多く、ピンとこないと感じるかもしれません。現実のビジネスで重要なことは、ビジネスに必要な全社の情報がオールデジタル、つまり基幹システムに全て格納されて利用できることです。特に基幹系の情報とEC(電子商取引)用のウェブサイトをうまく連携できることが重要であり、当社ではこれを『リアルとウェブの融合』と呼びます」
それほど基幹系とウェブ系の連携が重要なのにもかかわらず、実はIT事業者と一口に言っても基幹系とウェブの事業者はジャンルが異なる。両方のノウハウを持つ企業はほとんどないと言ってよい。
同社では、DXがキーワードとなる以前から、リアルである基幹系とウェブの両者を連携させるビジネスモデル「CROSS-OVERシナジー」を展開。在庫管理、販売管理などの機能を含む基幹業務ソリューションと、コンシューマー向けはもちろんBtoBの受発注が可能となるECサイトを連携させるソリューションを組み合わせて提供してきた。どちらも自社開発であり、実績も多い。
そのニーズの高まりは数字を見ても明らかだ。「CROSS-OVERシナジー」戦略を本格スタートさせた06年の売上高32憶8500万円から18年には94憶1200万円と拡大し続けている(いずれも7月期の実績)。