成功にはつながりにくい
不満を解消するためだけの転職

――転職に成功するポイントはなんでしょうか。

平原 入社後に「本当に大切にしたいものは何か」を明確にしておくことが重用だと思います。転職先を決めるのは、ゴールではなくあくまでスタート。しかし、1社目で長年勤めていた方が、初めての転職先となる2社目ですぐに転職を考えてしまうケースも実は多く見られます。「こんなはずじゃなかった」と思うことも多いようです。大切なのは、不満のポイントを解消するためだけに転職先を選ぶのではなく、「本当に大切にしたいもの」をはっきりしておくこと。

 例えば残業時間の長さが転職を考えるきっかけになることも多いですが、「残業時間の短さ」だけを軸に会社選びをするのは危険です。残業時間は短くなっても、会社の方向性が不安、会社の人間関係がよくない、などの理由でまた転職を考えてしまうこともよくあります。

 また、これまでの会社もそうであるように、転職先の会社も5年、10年で大きく事業環境や勤務環境は変化します。その中でも変化しづらい「経営理念」「業界・顧客」「文化・従業員」などの要素で共感できていないと、長く活躍することが難しくなるのではないでしょうか。転職は、もしかしたら恋愛や結婚に似ているかもしれません。

――どういうことでしょうか。

平原 お付き合いの中でいろんな不満や要望が出てくることもあります。例えば過去のパートナーが「片付けが苦手」なことが大きな不満点だった場合、「次に付き合うなら片付けがしっかりしてないとイヤ!」などと思うことも。ただ、本当に長続きしていくために必要なのは、「価値観を共有できるか」「自分らしさを出せるか、自然体でいられるか」といった要素かもしれません。

 転職でも同様に、不満点の改善だけでなく、自分らしさを出せるために絶対に必要なものを整理したほうが良いと考えます。転職しても、予想外の不満点はたくさん出てくることがあり得ます。ご自身の力を十分に発揮し、一定期間以上は活躍することを大切に考えてみてほしいですね。