高齢者といっても心身の状態や生活環境はさまざまだ。「老化」とはどういうことなのか、高齢の親とどう接すればいいのか、すぐにでもできる見守り対策はあるのか――。
老年学研究の第一人者である桜美林大学大学院の長田久雄教授に高齢の親と子の向き合い方を聞いた。
桜美林大学副学長・ 大学院老年学研究科
長田久雄教授
同志社大学文学部文化学科教育学専攻卒業、早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修了(文学修士)。東京都老人総合研究所などを経て、2002年より桜美林大学教授。臨床心理士、指導健康心理士、博士(医学)山形大学。専門は老年心理学、健康心理学、臨床心理学、生涯発達心理学。
長田久雄教授
同志社大学文学部文化学科教育学専攻卒業、早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修了(文学修士)。東京都老人総合研究所などを経て、2002年より桜美林大学教授。臨床心理士、指導健康心理士、博士(医学)山形大学。専門は老年心理学、健康心理学、臨床心理学、生涯発達心理学。
親の長寿は喜ばしい半面、子の立場では、両親のどちらかが亡くなって1人暮らしになった状態がとても心配だ。1人暮らしの高齢者(65歳以上)は、どれくらいいるのだろう。
下のグラフを見ていただきたい。2015年時点で592万8000人。高齢者人口に占める割合は男性13・3%に対し女性21・1%だ。だからといって「一人暮らしそのものは問題ではない」と、加齢や老化の科学的な研究や高齢者の問題を解決する基礎研究を学際的に行う老年学の研究者で、桜美林大学大学院の長田久雄教授は指摘する。
「自立した日常生活を送れている高齢者なら1人暮らしでもあまり問題はないでしょう。高血圧症や糖尿病と診断されてもゴルフを楽しんたり、旅行に行ったりしている人はたくさんいます。医師の目から見れば持病はあるものの、日常生活に支障がない状態を老年学では『機能的健康』と呼んでいます」
機能的健康は健康寿命とほぼ同じと解釈してよく、厚生労働省の調べ(16年)では健康寿命は男性72・14歳、女性74・79歳。親が後期高齢者(75歳以上)に差し掛かる頃、子は対策を考える時期に来たと受け止めるといい。