就職戦線、異状あり!? 経団連は、2021年春入社以降の新卒者を対象とする採用活動のルールを原則的に廃止すると決めた。かくて一括採用を基本とし、説明会は3年生の3月から、面接は6月から解禁という掟は消滅の方向へと舵が切られた。この改革は、学生に、企業に何をもたらすのか。取材・文/本誌編集部
2018年10月9日、経団連は企業の採用活動の解禁日などを定めた「就活ルール」の廃止を決定。1953年の就職協定制定以来、半世紀以上続いてきた日本型雇用慣行の在り方そのものに、一石が投じられている。
そもそも就活ルールは、企業に公平・公正な採用活動を促し、学生が学習・研究に費やす時間を確保するために定められたもの。ルールの前提である新卒一括採用は、採用した学生にさまざまな業務を経験させながら企業に貢献できる人材に育て上げ、定年まで面倒をみるという年功序列型の終身雇用に支えられている。ひとつの会社に定年まで勤め上げるといった昭和の人生すごろく的なキャリア観は、すでに過去のものだ。「ルール廃止は、時代に即した適切な判断」との見方も多い。
SNSを活用して企業と就職希望者をマッチングするサービスを運営するウォンテッドリー株式会社CEOの仲暁子氏は、ルール廃止後の就活市場は「『集団お見合い』から『自由恋愛』へ変化するだろう」と考える。
「従来型の就活では、解禁日にとりあえず有名企業にエントリーシートを送るという学生が少なくありませんでした。企業側も、学生一人ひとりの適性や希望を見抜くのが難しいので、入社数年で辞めてしまうミスマッチを起こしがちです。ルールが廃止されれば、学生は好きなタイミングでインターン等を通じて企業研究ができ、最終的によりマッチした企業に就職できるかもしれません。言わば、『自由恋愛』のように多様な価値観をもって就職活動をできるようになるでしょう」