“内臓脂肪”が生活習慣病の原因に
内臓脂肪の正しい理解と自分ごと化が重要

50代男性の1/3が内臓脂肪100㎠超の危険ラインに

茶カテキンは、脂肪の分解と消費に働く酵素の活性を高める

 花王は、内臓脂肪を低減し、より健康な人生を歩んでもらうために、内臓脂肪低減素材を探索してきた。約8000種類あるポリフェノール素材から約100種類の素材を選び出し、培養細胞を用いた1次スクリーニングで13種類の素材が有効であると確認。肥満モデル動物を使った2次スクリーニングで、茶カテキンが優れた肥満内臓脂肪の減少を助ける効果があることを突き止めた。

 その後、12週にわたって茶カテキン583mgを継続摂取するヒトの試験を行ったところ、被験者(BMI24~30の健常男女・240名)の内臓脂肪面積が、摂取開始前と比べて「9.5%」低減するという結果が得られた。

 ではなぜ、茶カテキンは内臓脂肪を減らすのを助けるのだろうか。

「内臓脂肪を減らすためには、食事から摂取カロリーを減らす方法と、ヒト本来の脂肪の代謝を上げる方法がありますが、茶カテキンは、脂肪の分解と消費に働く酵素の活性を高める作用があり、脂肪の代謝を促進する働きがあるのです」(森建太・主席研究員)

 体脂肪を低減する食品には、食べ物に含まれる脂肪の吸収を抑えるものがあるが、茶カテキンは、体内で脂肪消費を促進するもので、体内についた脂肪にも作用する。つまり食事と一緒に摂取するという縛りはなく、さまざまな日常場面で摂取しても効果が現れるという特長がある。

全国の自治体と連携し、内臓脂肪への意識を高める啓発活動を行う

 「内臓脂肪」という健康課題に取り組む花王は、全国の自治体などと連携して、内臓脂肪への意識を高める啓発活動を行ってきた。具体的には、自治体および日本肥満症予防協会の後援を得て「内臓脂肪みえる化ステーション」という名称で、全国各地でイベントを開催、医療機器による“内臓脂肪チェック“や、内臓脂肪に関する最新知見のセミナー、しっかり食べて内臓脂肪をためない食べ方「スマート和食」の紹介などを実施している。

森本聡尚
花王 コンシューマープロダクツ事業部門 事業ESG推進部 健康ソリューション 部長森本聡尚
花王 コンシューマープロダクツ事業部門 事業ESG推進部 健康ソリューション 部長

「2015年から、累計22の自治体で啓発活動を行ってきました。内臓脂肪チェックの会場を設営すると、行列ができて整理券を配るほどの人気があります。皆さん、内臓脂肪への関心はあるけれど、内臓脂肪について正しく理解している人、ご自分の内臓脂肪の量を知っている人は、多くありません。毎年6~7000人の内臓脂肪を測定しており、そのデータは自治体とも共有して、地域の健康づくりに役立てていただいています」 

 そう語るのは、事業ESG推進部・健康ソリューションの森本聡尚部長だ。

 内臓脂肪の測定をすると、ある傾向も見えてくる。例えば、若い世代では地方より都市部の方が内臓脂肪が多く、逆に50代以降では都市部より地方の方が内臓脂肪が多い傾向があり、生活習慣との関係がありそう、等々。地域のデータはお店の協力でポスター掲出により情報発信され、健康づくりへの関心を高めている。

 自治体との啓発例では、福島県での活動が印象的だ。福島県では震災後に肥満とメタボが急増しており、花王では2017年から、県および県看護協会と連携して、県内各所で「内臓脂肪みえる化ステーション」を開催。その結果をメディアを通じて県民に情報発信を行った。

“内臓脂肪”が生活習慣病の原因に内臓脂肪の正しい理解と自分ごと化が重要ショッピングセンターなどで開催される内臓脂肪を測定するイベントでは長蛇の列ができることも。

 さらに積極的な自治体からは、健康づくりの事業を受託している。例えば、平成30年度は岩手県から「県民主体の健康度アップ支援事業」を受託した。「健康経営」を志向する地域企業22社に対して、内臓脂肪の測定をはじめ、ホコタッチ(日常歩行計)の導入、内臓脂肪を貯めにくい「スマート和食」弁当の監修など、健康づくりを広範囲に支援。「参加企業の7割以上で効果が上がっています」と、森本部長は成果を語る。

>>>「あなたの内臓脂肪面積は?」はこちらか

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