2015年に国連が採択した「SDGs」(持続可能な開発目標)。17の目標と169のターゲットから成るSDGsは、地方創生の取り組みにも重なる。今、地方はどのようにSDGsに関わるべきなのか。地方創生に詳しいローカルファースト研究所の関幸子所長に聞いた。
関 幸子 所長
東京・三鷹市役所、まちみらい千代田にて30年間、地方自治に携わる。2009年から10年まで、内閣府企業再生支援機構担当室政策企画調査官として、地域再生にも関わる。17年、内閣府「自治体SDGs推進のための有識者検討会」委員。
今、政府は、全国の自治体による地域のステークホルダーと連携したSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みの総体を「自治体SDGs」と名付け、その活動を推進している。SDGsは世界全体の持続可能な取り組みを推進するものだが、その多様な目標の追求は、日本の各地域における課題の解決にも貢献し、地方の持続可能な開発を推進するものになるからだ。
地域再生のサポートなどを行うローカルファースト研究所の関幸子所長は、その取り組みをこう評価する。
「もともと政府は2014年に“まち・ひと・しごと創生法”を制定し、人口減少や東京圏への人口集中を食い止め、地方を活性化する地方創生を推進してきました。地方創生のポイントは、地域の資源を活用しながら社会の課題を解決し、人口減少を止めること。その方向性がまさにSDGsと重なるため、地方創生の深化を促すものとして期待されています」
内閣府は18年6月、SDGsの普及に向け優れた取り組みを提案した29都市を「SDGs未来都市」として選定。特に先導的な10事業を「自治体SDGsモデル事業」として選定し、補助金を交付している。
「例えば神奈川県鎌倉市のモデル事業では、『鎌倉リビング・ラボ』という仕組みを作り、古民家を改修して歴史や文化を継承する場として情報発信をしたり、公的不動産を活用して複数の企業が利用できる社員食堂や社員寮を作ったりしています。こうしたすぐに実行できる規模の取り組みは、他の自治体でも参考になると思います」
岡山県真庭市では、地域資源である木材を利用した木質バイオマス発電を推進。エネルギー自給率100%の達成や地産地消によって、循環型の「回る経済」を目指している。