つらいバリウム検査より
人気の胃カメラ
「どんなドックを選ぶべきかは、人それぞれ。自分に合ったところで受けると、満足度が上がるようです」(西本部長)。
例えば、基本検査項目に追加して受けるオプション検査。「心臓を徹底的に調べたい」「肺がん検査を受けたい」など、受ける人のニーズに合ったオプション検査があるか、事前にチェックしておけば、改めて、別の医療機関で検査を受ける必要はない。
施設のスペックもまちまちだ。検診・人間ドックをメインとしているクリニックや、入院・手術などを行っている総合病院などで人間ドックを受診できる場合もある。人間ドック専用のフロアを設けているところもあれば、一般外来と人間ドックの待合室が一緒になっているところもある。体重計が廊下に置いてあるような、手狭な施設がある一方で、上質なソファーがあるゆったりした空間を提供している施設もある。
検査を1日で終える「1日ドック」は、短いものでも3〜4時間の滞在時間がある。年に1回、夫婦で揃って受診という場合など、施設の快適さが人間ドック選びの重要な要素になる人も少なくない。
人間ドックの世界でもある種の“流行”がある。
人間ドックを受けた人なら誰でも思い出すのが、検査の最後にやってくるバリウム検査のつらさだろう。発泡剤で胃をふくらませ、バリウムを含む造影剤を飲む。ゲップを我慢しつつ、検査台で体を回して、造影剤を胃全体にくまなく行き渡らせて、食道から胃、十二指腸へとX線を照射して撮影する。検査が終わっても、便と一緒にバリウムを体外に出すのに一苦労だ。現在人間ドックで行う、胃などの「上部消化管」の検査では、このバリウム検査がスタンダードとなっている。
しかし最近は、口や鼻から内視鏡を入れて検査する「胃カメラ」(上部消化管内視鏡)を選ぶ人が増えているという。
胃カメラも決して楽な検査ではないが、「もしバリウム検査で病変が見つかった場合、再度、胃カメラで検査する場合が多いので、最初から胃カメラにしておいたほうが効率的と考える人もいるようです」(西本部長)。
もう一つのトレンドとしては、膵臓がんの検診がある。数年前にある芸能人が膵臓がんで亡くなり、注目されるようになった。国立がん研究センターの「最新がん統計」によれば、部位別に見たとき5年後の生存率(5年相対生存率)が最も低いのは膵臓のがんだ。膵臓がんの検査で、昨今注目されているのが「MR胆管膵管撮影(MRCP)」。費用は約3万円で、磁気と電波を使って画像を撮影するMRI(磁気共鳴像)検査を行うため、医療被曝はない。