小口の現金を支払う
機会は意外と多い
「ATM受取」が始まった2018年5月時点の契約企業数は約20社だったが、19年3月末には150社に達している。利用企業が急拡大した理由は何か。
「当初は主に返金を想定していましたが、それ以外にも様々な個人への送金ニーズがあることがわかってきました。採用面接などの交通費や本部から支店への経費の支払いなど、企業が小口の現金を支払う機会は意外と多いんですね。働き方の多様化やシェアリングエコノミーの普及、外国人労働者の受け入れなど、社会環境の変化に伴って個人への送金需要はますます拡大していくでしょう」(和田社長)
例えば、全国に支店や催事場を展開している企業では、お茶やお菓子などの購入費の支払いを「ATM受取」に切り替えた。それまでは拠点ごとに社員が立て替えて精算していたが、振込先の銀行がバラバラなので手続きが面倒だったという。近くのセブン銀行ATMで受け取れる利便性も社員に好評だ。
報酬の現金払いが一般的な警備・建設・物流業界でも導入が進んでいる。「ATM受取」を使えば、お金を渡す側の社員の労力も盗難リスクも大幅に減らせるからだ。受取人もいちいち事務所にもらいに行く手間がなくなり、そのぶん交通費もかからない。「広い駐車場併設のセブン‐イレブンもあるので、物流企業から配送を請け負う個人事業主にもとても喜んでいただいています」(和田社長)。
外国人労働者については、インターンとして受け入れるときの支度金の支払いで利用が広がっている。国内銀行の口座を持っていないため、これまでは空港まで迎えに行って現金を手渡ししていたそうだ。