バリューコマースは1999年に国内初のASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)として創業した同分野の草分けだ。浮沈の激しいネットビジネス、EC支援業界にあって順調に成長を続け、2006年には東証マザーズへも上場。同社をけん引する2人の経営幹部に、今後の成長の道筋と新たな海外戦略について聞いた。
国内アフィリエイト広告のパイオニアであるバリューコマースは、直近も5四半期連続増収を達成するなど、着実に成長を遂げている。
飯塚洋一 代表取締役 社長執行役員 1973年、住友商事に入社、欧州、アフリカ、中東などに駐在。99年、日本サテライトシステムズ(現スカパーJSAT)に入社、2008年、同社副社長就任。11年3月より現職。
「『消費者をアフィリエイト広告でミスリードしてはいけない』。創業から十数年かけて当社が築いてきたノウハウとマーケティング力を維持していくことが大切だと感じています」
同社の飯塚洋一代表取締役社長執行役員は、足元を固める重要性を強調する。
強みは社員の多様性と
コンサルティング能力
バリューコマースは、ナショナルブランドをはじめ2000に及ぶ広告主ECサイトのバナー広告を、質の高いおよそ87万件のパートナーサイトに掲載、これらの数はいずれも国内最大級だ。
一方、同社にはこのような先行者利得があるものの、後発の競合も増えている。優位性を保つにはさらなる強みが必要となるはずだ。
「今日、日本企業の最大の課題であり、使命でもあるのは経済成長と雇用だ」と断言する飯塚氏は、採用をはじめとする人事にも細心の注意を払う。
「さまざまな国の言語に対応できるスタッフが在籍していて、全スタッフの男女比は6対4。女性の管理職比率も26.8%と欧米に近い水準を保っています」(飯塚氏)
こうした社員の多様性が、グローバル化が進むEC市場において広告主企業とのコミュニケーションや提案の中で生かされている。
「単に場を提供するだけではありません。当社の強みであるマーケティング力やコンサルティング力を生かし、現在主力の金融、旅行業に加えて、化粧品や衣料、書籍などの分野でも強化を図っています」(飯塚氏)
2012年5月8日に第1四半期決算(通期での上方修正と増配)を発表した同社は、配当性向30%以上の目標を公言するなど、成長の果実を株主に還元することにも重きを置いている。