2003年に創業したネットコンシェルジェは、企業が持つブランドの強みを伸ばすWebコンサルティングにより、ECサイトをはじめ多くの企業サイトを成功に導いてきた。「ブランディング」の視点からWebサイトの課題を洗い出し、その解決を支援する同社の手法を尼口友厚代表取締役に聞いた。

ネットコンシェルジェ
尼口友厚 代表取締役 プロデューサー

日本のインターネット黎明期より活動するWebコンサルティング会社でECサイト構築・運営ディレクションに従事し、2003年にネットコンシェルジェを設立、代表取締役に就任。

 ECサイトで思ったように売り上げが上がらないとき、多くの企業はSEO対策やサイト内の導線の見直しなど、テクニカルな対策に走りがちだ。

「しかし、それだけでは継続的な売り上げ向上にはつながりません」

 企業のECサイトに対するコンサルティングを手がける、ネットコンシェルジェの尼口友厚代表取締役はそう語る。

髙島屋がギフト販売中心に
ECサイトを刷新した理由

「ECサイトが成功する条件は、『ネット上で一番安く売る』か、『他のECサイトでは買えないものを売る』かの二つしかありません。いずれかを満たせば成功の可能性が開けますが、現実にはどちらも満たすのは難しい。そこで重要になるのが『ブランディング』です」(尼口氏)

 ブランディングの重要性を端的に示す例として尼口氏が挙げるのが「髙島屋オンラインストア」である。

ネットコンシェルジェがコンサルティングを手がけた「髙島屋オンラインストア」。サイト全体を「ギフト用」「自宅用」に分けて構成し、それぞれの目的に最適化したメニュー、導線を設けている。http://www.takashimaya.co.jp/shopping/

 その名の通り、老舗の百貨店である髙島屋が運営するECサイトだが、尼口氏によれば、同社は「市場の大きい自家需要を伸ばすことに傾注すべきか、それとも主力であるギフト販売に優先的に取り組むべきか」を検討していた。それに対して同氏は、迷わず「ギフト販売を伸ばすことを優先すべき」とアドバイスしたという。

「髙島屋オンラインストアの商品には、他のECサイトでも販売されているものが少なくありません。しかし、ギフトだけは特別です。髙島屋の包装紙に包まれたギフトは、ネット上ではここでしか買えません。つまり、この包装紙により、商品が『他のECサイトでは買えないもの』に生まれ変わるのです」(尼口氏)

 高島屋は尼口氏の提案を受け、ECサイトを「ギフト用」と「自宅用」に大別。それぞれに最適化した構成に刷新し、大きく売り上げを伸ばした。