ポートフォリオに「金」を加えておけば、安心感が増す。とはいえ、「金」なら何でもいいというわけではない。歴史と伝統のある刻印と、買いやすさ、売りやすさに注目して選びたい。
製錬事業部貴金属部長 酒井 健
現在、国際金価格(米ドル建て金価格)は6年ぶりの高値圏で推移している。金に資金が集まる要因として、三菱マテリアルの酒井健・貴金属部長は「低金利」と「中央銀行」を挙げ、「米国が景気を維持するために低金利政策を維持する姿勢を見せていること、各国の中央銀行が外貨準備として金の保有量を増やしていることは、金利が付かない金にとって、(金価格維持の)サポート要因になっています」と分析する。現在、高値圏にあるとはいえ、金は今が買い時のようだ。
明治期から金を生産している
製錬メーカー
国内で金地金(インゴット)を扱う業者の中でも三菱マテリアルと金の関わりは、古く深い。三菱の創始者・岩崎彌太郎が1873(明治6)年に岡山県の吉岡鉱山を買収して金属鉱山経営に進出、96(明治29)年には当時の宮内省から佐渡金山、生野銀山と共に大阪製錬所の払い下げを受けて金属製錬事業を本格的に開始して、三菱ブランドの金が誕生した。
現在、同社の金をはじめとする貴金属生産のメインは、1917(大正6)年設立の直島製錬所(3ページコラム参照)だ。
「直島製錬所では、銅と共に銅鉱石に含まれる金・銀・白金などを生産しています。81年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)公認の熔解検定業者として登録され、自社ブランドのマーク、三菱(スリーダイヤ)の刻印を金地金に打てるのは、当社だけです」
同社では月間約4tの金地金を生産しており、金の生産量は日本で一番多い(日本鉱業協会)。金地金には、1kg、500g、100g、20g、10g、5gの6種類があり、そのどれにも商標を表すスリーダイヤと、金塊番号、品位表示999.9(純度99.99%)、製錬・分析者マークの小さなスリーダイヤが刻印されている。これらは、東京、仙台、名古屋、大阪、福岡にある直営店「ゴールドショップ三菱」で購入することができるが、純金積立「マイ・ゴールドパートナー」を利用すれば、もっと手軽に購入できる。