人生100年時代を迎え、働き手としても豊富な経験とノウハウを持つシニア世代の活躍が期待されている。そこで早めに行っておきたいのが「老眼対策」だ。自分に合った正しいレンズ選びで、快適な見え心地の眼鏡を手に入れよう。
日本の総人口は、少子化によって2015年以降、長期の減少過程に入った。「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、2053年には1億人を割り、65年には8808万人になると推計されている(出生中位推計、図1)。
このうち老年(65歳以上)人口の割合を見ると、36年に33.3%、65年には38.4%に(図2)。つまり、2.6人に1人が“老年”となるわけだ。
この間、平均寿命は延び続け、65年には男性84.95歳、女性91.35歳になるという(※注1)。100歳以上の高齢者数は18年時点で約7万人だが、50年ころには50万人を超える見通し(※注2)。まさに「人生100年時代」を迎えているわけだ。
企業も即戦力のシニア人材に注目
このように加速する少子高齢化によって、日本では15歳から64歳までの生産年齢人口が減り、働き手不足がよりいっそう深刻化していくと予想される。今後、それを補うマンパワーとして期待されているのがシニア世代だ。
豊富な経験とノウハウを持つシニア人材は即戦力になるため、企業にとっても価値が大きい。大手企業で定年を迎えたシニアが中小企業でその経験を生かすといったケースも増えていきそうだ。
政府もシニアの雇用を後押ししている。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を講ずるよう義務付けている。「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)によると、この措置の実施済み企業の割合は、従業員31人以上の企業約16万社のうち99.7%。また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は75.6%となっている(※注3)。
約8割が高齢期にも「働きたい」
一方、労働に対するシニア側の意識も変化している。内閣府の「平成26年度高齢者の日常生活に関する意識調査」では、現在仕事をしている60歳以上の人のうち約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答と合計すると、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることが分かった(図3)。
この背景には、平均寿命が延びたことで定年後の期間が長期化したため、なるべく元気なうちは働いて引退生活に入る時期を遅らせたいという意識があるようだ。
実際、働き続けるシニアは年々増加している。「平成30年版高齢社会白書」によると、60~64歳、65~69歳、70~74歳の17年の年齢階級別就業率は10年前と比較してそれぞれ10.7、8.5、5.5ポイント伸びている(図4)。65~69歳はおよそ2人に1人弱、70~74歳ではおよそ4人に1人強が働いていることになる。
近くが見えづらいのは深刻な問題
60歳以降の仕事は事務やデスクワークが中心になるが、そこで問題となるのが小さくて細かな文字が見えづらくなる「老眼」だ。個人差はあるものの、一般に40歳代で症状が現れ始める。老眼は一度始まるとどんどん進むといわれているが、早めに対策をすれば目の老化を遅らせることは可能だという。
その老眼対策に欠かせないのが、1枚のレンズに二つの矯正度数を持つ「累進レンズ」だ。遠くと近くの度数とその間の度数で構成されているため、1つの眼鏡で遠くから近くまで見ることができる。
昔は手元がよく見える「単焦点レンズ」(1枚のレンズに一つの矯正度数を持つレンズ)の老眼鏡で間に合ったのだが、現代は手元だけでなく、パソコンやノートパソコン、スマートフォンなどにもピントを合わせられる累進レンズでないと快適な生活は送れない。働く意欲の高いシニアにとっては、とても頼りになるレンズなのだ。
だが、間違った老眼鏡選びで失敗している人は意外と多い。そのほとんどは適切なアドバイスが得られず、どのレンズが自分に合っているのかが曖昧なまま購入しているのが原因だ。自分に合っていない老眼鏡を掛け続けていると、眼精疲労を引き起こし、老眼の進行を早めることにもなりかねない。
眼鏡選びのポイントはズバリ三つ。①レンズ性能 ②専門スタッフの適切なアドバイス ③正確な視力測定だ。累進レンズの技術は日進月歩の勢いで進化している。老眼に悩まず、ストレスを感じない生活を送るためにも、自分に合った正しいレンズ選びで、快適な見え心地の眼鏡を手に入れよう。
※注1、注2 「日本の将来推計人口(平成29年推計)」国立社会保障・人口問題研究所
※注3 「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)雇用確保措置の実施状況