先進国の「石油ショック耐性」は比較的強固

 1970年代の石油ショックを経て、先進国の省エネルギー化が進んだのはもちろんのこと、その後も地球温暖化対策などにより省エネは着実に進んできている。加えて、経済発展とともに経済のサービス化が進む「ペティ・クラークの法則」に従い、先進国では経済がサービス化して経済規模との比較で石油の消費量が減少してきた。

 途上国との対比も重要である。先進国では経済がサービス化しているために経済規模との比較で石油の消費量が少ないこと、豊かな国と貧しい国では原油価格上昇によるインパクトは後者の方が大きいことなどを考えると、仮に原油価格が高騰しても、途上国と比べて先進国への打撃は限定的である。

 ということは、先進国から見れば、エネルギーを爆食している途上国の経済が落ち込むことで、世界のエネルギー需要が大幅減となり、供給ショックを和らげるバッファーとなってくれるともいえそうだ。

とはいえ、日本にとってのリスクは小さくない

 今回の出来事を契機として、日本のエネルギー安全保障について考えた読者も多いだろう。多くの原子力発電所が稼働しておらず、石炭火力発電に対しても二酸化炭素排出量が多いとのことで国際的な批判を浴びている中、原油に頼らざるを得ない日本にとって、中東地域の混乱は死活問題となりかねない。

 もっとも、上記のように、多少の価格上昇はあったとしても、先進国への影響は限定的。日本はインフレ率が低いため、「原油価格が上昇してインフレになり、日銀が金融を引き締めて景気をわざと悪化させる」といったことも考えにくい。したがって、原油価格の上昇に関しては、過度な懸念は不要であろう。

 問題は、日本の原油の輸入元が中東地域に過度に偏っていることである。原油の輸入元の実に9割近くが中東地域というのは、大変危険な事実である。中東地域で混乱が発生して原油の輸入が困難になったり、ホルムズ海峡が何らかの事情で通行不可能になったりしたときに日本経済が大混乱しかねない。

 「中東から原油が買えなくなったら他の地域から買う」ことができれば良いが、2つの面で不安がある。1つは、今まで取引がなかった地域からの輸入が簡単にできるのか否か。できたとしても非常に高い輸入価格となってしまうかもしれない点だ。

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トランプ大統領の中東関与は安心材料に?

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