イラン国営メディアは8日未明、イラク西部の米軍と有志連合軍が駐留する空軍基地にミサイル攻撃を行ったと報じた。これを受けて米国・イラン双方から伝わってくる公開情報は極めて興味深い。今後の米イラン関係をいかに読むべきか。現時点での見立てを解説しよう。(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、元外務省中東アフリカ局参事官 宮家邦彦)
今後の米イラン関係をいかに読むべきか?
イラン国営メディアは8日未明、イラク西部の米軍と有志連合軍が駐留する空軍基地にミサイル攻撃を行ったと報じた。イランが米軍基地へのミサイル攻撃を認めるのは今回が初めて。一方、米国防総省はイランが12発を超える弾道ミサイルを米軍が駐留するイラク内の基地2カ所に撃ち込んだと発表した。
米国によれば、3発のミサイルはイランから発射されたが、現時点で米国人の死傷報道は出ていない。ドナルド・トランプ米大統領は「全て順調、今のところ良好(All is well 〈中略〉 So far so good)」とツイートした。イラクの首都バグダッドの国際空港近くでイラン最精鋭のクドゥス(Quds)部隊のカセム・ソレイマニ司令官が殺害されてから5日目の出来事である。
これまでイラン指導部は米国に「厳しく報復する」と誓っていたはず。ところが、今回イラン側は「(米側の攻撃)に対応した攻撃が完了した(proportionate attack concluded)」と述べている。以上の公開情報は極めて興味深い。今後の米イラン関係をいかに読むべきか。筆者の現時点での見立ては次の通りだ。