主力の宅配便事業に加え、物流の上流工程を視野に入れたB to B事業をさらに拡大する佐川急便。さらなる飛躍を見据え、グループの物流機能と英知を結集させた新拠点がついに完成した。
都心近接エリアに誕生、国内最大級の物流拠点
東京都江東区新砂。都心にも程近いエリアに巨大物流施設が誕生した。その名も「Xフロンティア®」。佐川急便を中核とするSGホールディングスグループが総力を結集した拠点とする、次世代型ロジスティクスセンターだ。
総延床面積は約17万平方メートル(IHIとの共同所有)。物流会社が運営する施設としては国内最大級の規模を誇る。佐川急便の本村正秀社長は「都内のこれ以上ない立地に、通過型の中継センター機能と保管型の倉庫機能、そして物流プラットフォーム機能の三つの機能を兼ね備えた拠点が完成します。ここでサプライチェーンにおける主要業務を集約することにより、ボトルネックの解消が可能です」と自信を見せる。
4層構造になった物流棟の1、2層は、同社が24時間稼働の中継センターとして活用。荷物の形状やサイズごとに5種類の自動仕分け機を導入して、1時間当たり最大10万個という前例のないレベルの処理能力を実現する。
本村正秀・代表取締役社長
「関東で発着する荷物のほぼ全量がこの中継センターを経由します。2021年4月以降に予定されるフル稼働後は、理論上で当社の輸送能力が16%向上します」(本村社長)
同社が現在取り扱う荷物は年間約13億個だが、それが15億個以上まで扱えることを意味する。
新しい中継センターの効果はそれだけにとどまらない。現状は、関西や中京など方面ごとに個別の中継センターを置いているが、効率的に配送する点で課題があった。このたびⅩフロンティア®に設ける巨大な中継センターは、全国の主要な方面を網羅した機能を持たせることにより、営業所からそれぞれ方面別中継センターへ仕立てていた幹線便を混載にすることが可能になり、積載率が向上する。
さらに、荷物を降ろすバースを充実させることで、トラックの待機時間が短くなり、リードタイム短縮に加えて、幹線輸送を担うパートナー企業の労務環境改善にも貢献できる。事務所棟の7階では、パートナー企業のドライバー向けに仮眠室やシャワー室を設け、屋上には駐車スペースも確保。本村社長は「働きやすさの観点から随所に工夫を凝らしています」と語る。