これからの企業の存在目的は、
環境への貢献が重要になる

アナウンサー
渡辺 真理元TBSアナウンサー。TBS時代から、報道番組のキャスターを務める。フリー転向後も報道に長年携わる。

渡辺 最近「この5年が勝負」という声を専門家から伺うんですが、やはり先生もそうお感じですか。

伊藤 今顕在化している現象を見ても、早ければ早いほどよいわけで、その理由はいったんCO2が蓄積されると元には戻れないからです。

渡辺 では、“脱炭素”社会を達成するためには、何が有効なのですか。

伊藤 私はやはり企業に期待しています。これまでは利益、雇用や成長などが重要でしたが、21世紀には「持続可能な社会に企業がどう貢献するか」ということが問われる時代になります。タフじゃないと生きていけないけれど、優しくないと生きる価値がないということです。

わかりやすい方法論が、
経済の流れを“脱炭素”へ  

渡辺 今ESG投資、CDP※格付けや、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など“脱炭素”社会に関わる新しい動きが出てきていますが、それらをどうお考えですか。

伊藤 例えばESG投資をすることが投資家に非常にメリットがあるという話が広まると、本当に資金が流れ始め、人も動きます。何といっても話がわかりやすい。例えばゼロ・エネルギーなどのラベリングなど、理解しやすい指標で世の中を動かしていくことが、重要なことかもしれないですね。

渡辺 その中で企業の役割は大きいですね。

伊藤 企業は、一人ではできないことができる。大きなことを成し遂げるためには、企業というサイズの枠は重要です。

渡辺 CDPの評価Aが、日本は2017年の13社から、2020年には38社になり世界トップです。そういう日本の企業の頑張りは評価されていいのでは。いかがでしょうか。

伊藤 特に上場企業の経営者は、他の企業がどう動くか気にしています。だからCDPもけっこう広まってきて、いい意味で横並び競争が起きているのだろうと思います。日本的でいいことだと思いますよ。

渡辺 “脱炭素”社会実現のためには、このような競争をもっと期待していきたいですね。

※環境分野の情報開示の取り組みで優れた企業を格付けする指標。

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