組織を活性化する新たな
ソリューションとして

 では、具体的にどのように怒りの感情をコントロールしていくのだろうか? 基本的には三つの方法があるという。一つ目は「衝動のコントロール」。例えば怒りを感じたときは、時間を6秒置く“6秒ルール”を守ること。二つ目は「思考のコントロール」。自分の中のコアビリーフ(自分が信じている「~べき」)を明確化し、怒ることと怒らないことの境界線をつくること。三つ目は「行動のコントロール」。この状況は(自身の行動によって)変えられる・変えられない、(自分にとって)重要・重要でない”の四つのマトリクスに整理し、長期的に最適と思える選択をしていくこと。

「そもそも怒ることというのは、相手にどうしてほしいか、これからどうあってほしいか、リクエストを伝えることです。抽象的ではなく、具体的に伝える必要があります」と阿井氏はアドバイスする。

 同協会では、これらの方法に基づいたアンガーマネジメント研修を実施。パワハラ防止だけでなく、組織を活性化する新たなソリューションとして提案している。

 職場が抱える問題には、「人間関係の怒り」「業績を追い求める苛立ち」などさまざまな感情が存在している。アンガーマネジメント研修では、自身のこだわりや価値観を明確にし、チーム内で共有することにより、自己理解と他者理解への力が付いていくのだ。いわば、建設的に解決する思考が養えるプログラムなのである。

 阿井氏はこう訴える。「パワハラは、相手の尊厳や人権を傷つける許されない行為であるとともに、職場環境を悪化させるもの。生産性や意欲の低下にもつながり、経営上の損失にもなりかねません。人がお互いに人権を尊重し、誰もが生き生きと働ける職場づくりをするためにも、全員参加型のアンガーマネジメント研修の導入をお勧めしています」。

●問い合わせ先
一般社団法人
日本アンガーマネジメント協会
〒105-0023 東京都港区芝浦3-14-8 芝浦ワンハンドレッドビル 6F
TEL:03-6435-2120
https://www.angermanagement.co.jp/