現在、対策チームの責任者を務めるベンチャー投資家のジョン・ボースウィック氏はこう指摘する。「アプリではこれは解決しない」

 対策チームの結成当初は、何年にもわたりシリコンバレーを支えてきた「世界を救う」という信念が生きていた。

 誰もが力になりたいと考えていた。だが、最大の問題は、ハイテク関係者から寄せられる大量のアイデアを管理することにあった。チーム関係者が明らかにした。

 対策チームの原動力となったのが、元グーグル社員のジョシュ・メンデルソン氏だ。同氏はグーグル時代に大型ハリケーン「カトリーナ」の災害対応プログラムを指揮し、救助ヘリコプターを効果的に投入するためのシステム構築に関わった。

 メンデルソン氏は、エンジェル投資家のロン・コンウェイ氏に支援を求めた。コンウェイ氏はツイッターやグーグル、フェイスブックなどを早期に発掘した人物として知られ、業界の人脈も広い。

 3月半ばに行われた対策チームの電話会議には、ホワイトハウスの最高技術責任者(CTO)を務めるマイケル・クラチオス氏を含む約45人が参加していた。

 だが、間もなくチームは「プライバシー」問題という火種に直面する。コロナ流行以前に、ハイテク業界は個人情報の収集を巡り規制当局や議員らから厳しい追及を受けていた経緯があり、携帯電話を使って個人のウイルス接触状況を追跡するといった取り組みは、政策や規制上の懸念に埋もれてしまった。

 対策チームの初期メンバーを務めたハーバード大学の疫学者、キャロライン・バッキー氏は、ビデオ会議システム「ズーム」を経由した週次会合は、プライバシーを巡る潜在的な影響や最善のデータの扱いといった議論に終始していたと明かす。「かなり分裂状態にあり、何が目標なのか見えなくなっていた」

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