「つなぐ」仕掛けが
街の活性化にも貢献
こうしたハード面の充実に加え、同社が蓄積してきたリソースを活かしたソフト面の取り組みも見逃せない。たとえば、+OURSで開催されるビジネス交流会は、スタートアップ企業の経営者など数十名が参加。自社の商品・サービスのプレゼンも行われ、熱気に包まれる。スタートアップ企業向けのセミナーも人気だ。
また、「当社の既存のオフィステナントはじめ、お付き合いのある企業も、+OURSに大きな関心を寄せています」と谷口氏は明かす。
テナントには、多様な業種の優良企業が名を連ねており、オープンイノベーションを志向する企業も少なくない。これら企業の経営資源、ノウハウを活用することで、スタートアップ企業が急成長する可能性は高く、大企業にとっても新たな事業開拓を期待できる。スペースを提供するだけのシェアオフィスとは一線を画す、同社ならではの特長である。
ところで、東京建物は日本政策投資銀行が運営する京都オープンアクセラレーターを後援する。京都を拠点とする大企業とスタートアップ企業を結び付け、新ビジネス開発を支援する取り組みだ。プレゼンや打ち合わせの場として+OURSを提供するなどの協力もしている。「大企業とスタートアップ企業、地方と東京をリアルにつなぐモデルケースの一つ」と谷口氏は語る。
現在、+OURSはスタートアップ企業の利用だけでなく、法人契約の企業も少なくない。「働き方改革の先進企業のサテライトオフィス、地方企業の東京の拠点として利用されています。新規事業の立ち上げを期して、スタッフの拠点とされるケースもあります」と谷口氏。
東京建物にとっても、+OURSは新事業である。立ち上げの目的について、福井氏は「街の活性化、賑わいの創出は、不動産会社の使命。人口減少社会となったいま、人が集い、新しいものが生み出される場をつくることで、使命を果たしたいと考えました」と振り返る。
東京・八重洲を起点に、120年にわたって事業を展開してきた不動産会社としての自負が社会・経営環境の課題解決に資しているわけだ。
今後も、利用者のニーズを踏まえてソフト面の充実を図るとともに、拠点も増やしていく。複数拠点の利用を可能にするなど、プランの多様化も図る。+OURS発のイノベーション、共創が加速しそうだ。
東京建物株式会社
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