メールの履歴などがあれば
契約書の押印は不要に

コロナ禍を業務改善の契機に

 だが、状況は変わってきた。コロナ禍でテレワークが広がり、契約手続きなどの電子化、オンライン化が求められる中、契約書類などの電子化を進めるには、より手軽な仕組みが必要になるからだ。

 その一つが「契約書の押印は不要」というものだ。2020年6月、内閣府、法務省、経済産業省が連名で、民間企業や官民の取引の契約書で押印は必ずしも必要ないとの見解を示した。契約に関するメール本文や送受信履歴、契約の本人確認ができる身分証明書の保存などが押印の代わりとなる。押印のための出社や対面作業を減らし、テレワークを推進する狙いがある。

 7月には政府が電子署名に対する見解を公表し、「電子証明書がない電子署名も法的に有効」であるとした。「政府の見解に加えて、第三者が電子署名の効果を担保するクラウドサービスの広がりを受けて、電子化の状況が大きく変わってきています」と三浦氏は話す。

 契約書類の押印に代わる電子サインや、電子請求書など、業務を効率化するクラウドサービスが既に提供されている。自前でシステムを構築するのと異なり、「クラウドサービスであれば法改正などの対応も事業者に任せられます。紙や印鑑の電子化を進める上で、クラウドサービスの役割は大きくなっています」と三浦氏は説明する。