できるところから
電子化を始める

 テレワークによる働き方の変化や、電子化を支援するクラウドサービスの利便性は理解しても、「紙と印鑑」の文化からなかなか抜け切れない企業も少なくない。

 例えば請求書のように相手がある場合、相手の了解が得られないと電子化に踏み切れないこともある。三浦氏は電子契約を例に「グループ企業内など了解を得やすいところから始めて、徐々に広げていく方法があります。相手があるから電子化できないというのではなく、できるところから始めればいいのです」と助言する。

 経理部門の請求書などの電子化を促進すると期待されるのが、20年10月1日から施行される改正電子帳簿保存法だ。電子帳簿書類の保存の際のタイムスタンプについて、発行者のタイムスタンプがあれば、受領側では不要になる。また、電子帳簿の改ざんができないクラウドサービスなどを利用すれば、タイムスタンプは不要になり、業務を効率化できる。

 紙と印鑑の文化を転換することで、「紛失・盗難や改ざんのリスクを低減させつつ、業務の効率化と利便性の向上にもつながります」と三浦氏。コロナ禍の中で政府もテレワークを後押ししている。自社の業務の在り方を見直す好機にするべきではないだろうか。