なぜこのような変化が起きているのでしょうか。その背景にはグローバリゼーションとITの進歩が、事業環境をかつてないほどの速度で変化させていることがあります。
たとえば出版業界では、インターネットの登場によって雑誌の売り上げや広告収入が激減し、ウェブ上でのマネタイズを考えなければならなくなりました。またネット通販や電子書籍の登場も、従来の書店販売というビジネスモデルを根幹から揺るがしています。
出版業界と関係が深い一方で、ディスプレイのフィルムや半導体の基盤など多様な事業を手がける凸版印刷は、事業環境の変化を次のように捉えています。
「われわれは普通のメーカーのように、同じものを作り続ける会社ではないんです。基本的に受注産業ですので、日本経済やお客様の環境によって、事業は大きく変わります。常にお客様のご要望に応じる仕事ということは、常に新しいものを求められていることと一緒です。つまり、変化し続けていくことが大切なのです」(凸版印刷 人事部 萩原氏)
変化に対応できる
人材こそが資源となる
このような変化に対して、企業を構成する社員とその予備軍である学生は、現状として、どのように対応しようとしているのでしょうか。
かつて、企業と社員との関係性は、縦(上司・先輩)と横(同僚)のつながりを通じて徐々に醸成していくものでした。それは、終身雇用や年功序列など、その企業に長期間勤めることを前提とした人材マネジメントの仕組みでした。
しかし、前回の考察に見られるように、今の若者は組織に入る前からある程度「組織に期待すること」やそこでの「自分の役割」を決めつけている傾向があります。それは流動性の高い時代に対する若者なりのリスク対策でもあります。
「今の若者は、昔より会社というものに対する考え方がドライというか、冷静というか、社会や業界に対しても危機感を持っていてシビアです。世間では終身雇用も信じられなくなった今、『自分はどのように働いていけばいいのか』という早めの答えを求めるようになり、焦っているという印象もあります」(TBS 広報部 内山氏)