オンライン証券が躍進しているリテール分野で、老舗の対面証券会社ながら増収を続けているのが、あかつき証券だ。特に近年、IFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)部門の預かり資産残高を大きく伸ばしている。その原動力となっているのが、対面のリテール営業で長年培ってきた運用アドバイスのノウハウや提案力、独自性の高いサービスで、IFAにも好評を博している。
あかつき証券では、IFA部門の預かり資産残高が2018年3月末に比べて、およそ9倍の1000億円超に急増した(図1)。なぜ、これほど伸びたのか。
その背景にあるのが、特定の金融機関に属さず、中立の立場で資産運用アドバイスを行うIFAの増加だ。「対面サポートや商品組成など当社の独自性の高いサービスが口コミで広がり、より多くのIFAに契約していただいたことが大きいと思います」とあかつき証券の工藤英人社長は話す。
顧客先への同行訪問で
きめ細かくフォロー
加藤高志
常務取締役執行役員
アライアンス推進本部長
同社のIFA支援サービスの強みの一つが、対面証券ならではの「専任担当者の配置」だ。
「当社の契約IFA外務員数は現在約650人ですが、それに対し、対面営業の経験豊かなスタッフを専任担当者として30人以上配置しています。商品・投資情報を提供するほか、ご要望に応じて顧客先に同行訪問し、運用相談から商品説明、口座開設・受注、アフターフォローまできめ細かな支援を行っています」と加藤高志アライアンス推進本部長は語る。
そもそもIFAによる運用アドバイスは対面が基本。対面証券との取引を希望する顧客も多く、同行訪問は顧客の安心感にもつながっている。商品組成では「仕組債」が富裕層に人気だ。
「例えば、米国株のアマゾンとアルファベットの2銘柄を対象に、保有期間中の株価が〇%以上下落しない限りクーポン(利子)は20%に、逆に〇%以上下落した場合はその株で償還するといった債券です。何十通りものパターンがありますが、それぞれ当社では提携する複数の金融機関の中から最も有利なプライスを提示しています。また、リクエストされた条件で組成した仕組債の参考プライスを素早く提示する体制も整えています。午前中にお問い合わせを頂ければ、当日中に取引を成立させることも可能です」と加藤本部長は話す。
IFAは、顧客の投資ニーズや目標リターン、リスク許容度、資産ポートフォリオの状況などを踏まえ、こうした仕組債を提案している。IFA同士の競争が激しさを増す中、こうした提案が新規開拓や深耕に役立っているという。仕組債の販売に対するあかつき証券の支援体制は、各IFAにとっても大きな力となっているようだ。