震災復興の現場で
実績を重ね、事業を拡大

 同社はまた東北地方と縁が深く、震災復興の現場で砂の安定供給を通して、長年にわたり復興に貢献してきた。早期復興のために、採取地からの距離の近さを生かして、石巻・大船渡をはじめ多くの復興現場にルナサンドの砂を届けたほか、三陸の養殖業復興のための漁礁の整備や海岸の再生にも砂を供給した。

(上)福島県の二本松市と福島市にトラック約40台を配置
(左下)ルナサンド二本松営業所の輸送拠点にて
(右下)岩手県猊鼻(げいび)渓への社員旅行。語学堪能な外国人スタッフも迎えてグローバルに

 震災復興の現場で実績を上げたことで、ゼネコンや官公庁との仕事も増加した。現在、復興現場では、福島県二本松市といわき市の拠点にトラックを40台配置し、除染土を中間貯蔵施設に輸送する環境省管轄の仕事を請け負っている。

「これは、復興支援の最終的なお手伝いだと考えています」と語る原田社長。砂製造・販売事業で全国に強固な物流スキームを構築した結果、ルナサンドはこうした物流事業にも力を発揮するようになった。

高熱で砂の加熱処理をする船橋工場。2021年には四日市工場も増設

 そのルナサンドが現在力を入れているのが、環境への取り組みだ。岩手県八幡平市では、地元の農業生産組合と共同で休耕地を利用し、芝生の育成を行って地元の公園に納入した。良質な芝生の育成には排水性に優れた粒形のそろった砂が必要で、ルナサンドの砂はそのニーズにも合致するのだ。

 また、プレミアムサンドを焼いて薬剤をコーティングした品質の良い抗菌砂を開発。薬剤メーカーと共同開発し、2年に及ぶ抗菌効果のエビデンスを獲得した。今、教育現場(子どもたちが遊ぶ砂場)など、安全かつ高いクオリティーが求められる現場での需要が高まっている。