生活者や企業と共にライフスタイルの未来を創り出す、新たな応用研究拠点が誕生

新規ビジネス創出を支援するビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」、多様な働き方やデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「KDDI法人部門 虎ノ門新拠点」に次いで、次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」の実現に向けたKDDIグループの三つ目の拠点が、東京 虎ノ門に開設された。それが、2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点、「KDDI research atelier」である。

新たなライフスタイルをもたらす研究内容を公開展示

 東京 虎ノ門に開設された「KDDI research atelier」は、その名の通り、単なる研究拠点ではなく、アトリエに絵画を飾るように研究内容を公開展示する場でもある。

 同拠点では、新たなライフスタイルを「食」「購買」「健康づくり」「学び」「趣味・遊び方」「交流」「働き方」「休養」「住み方・暮らし方」の九つのカテゴリーに分けて研究を進めており、現在は、そのうち「購買」「健康づくり」「趣味・遊び方」「働き方」「住み方・暮らし方」の五つの研究内容に関する公開展示を行っている。

 例えば「購買」に関する研究では、家にいながら、スマートフォンを使ってコンビニエンスストアやスーパーなどの実際の陳列棚を眺め、欲しい商品を選んで購入できる「ライフデリバリー」という実証実験のデモンストレーションが行われる。

 選んだ商品は遠隔操作ロボットが陳列棚からピックアップして自走式ロボットに受け渡し、そのまま自宅に配送される仕組みだ。家から一歩も出なくても、外で買い物するときと、ほぼ同じ体験ができる。

遠隔操作ロボットが陳列棚から商品を取りだしている様子。左手の自走式ロボットに積んで注文者の自宅まで届けるデモンストレーションを「KDDI research atelier」で見ることができる

「オンラインショッピングは手軽で便利ですが、店内で思わぬ商品に出合えるリアルなショッピングに比べれば味気ない面があります。オンラインショッピングを多く使われる、外出が困難な高齢者や障がい者などでも買い物の楽しさを味わえるようなサービスが求められるのではないかと考え、研究開発を進めています」。そう語るのは、KDDI総合研究所 取締役執行役員 副所長でKDDI research atelier センター長の木村寛明氏である。

 スマートフォンからでも陳列棚の商品がはっきり見えるように高精細画像で表示したり、ロボットを遠隔操作でスムーズに動作させたりするためには、大容量・超低遅延の特性を持つ5G(第5世代移動通信システム)ネットワークの活用が欠かせない。一方で、ロボットそのものの開発はKDDIの専門外である。そこで、国内外の企業や研究機関とパートナーシップを組み、これらのパートナーが持つ技術とKDDIが強みとするネットワーク技術や通信ソリューションを融合させて、新しいライフスタイルを共創していく。それが、KDDI research atelierを開設した大きな目的の一つだ。

 他にも、「健康づくり」の展示では、AI(人工知能)による食事画像の自動解析や、アバター(仮想現実や複合現実などの技術で合成した分身)による遠隔カウンセリングを通じた健康管理、「趣味・遊び方」の展示では、ゴルフレッスンにおける骨格点の動きの推定や自由視点技術によって、スイングの姿勢を360度あらゆる方向からチェックできる仕組みなど、5GとAI、XR、IoTなどの先端テクノロジーを融合させたさまざまな研究内容を体験できる。

木村寛明
KDDI総合研究所
取締役執行役員副所長
KDDI research atelier センター長

 「多くの企業や生活者に展示内容に触れていただき、『こうすれば、もっと良くなるんじゃないか』『他にこのような使い道もあるのではないか』という発想やアイデアを交換したいですね。生活者の視点も積極的に取り入れながら、研究内容をブラッシュアップしていきたいと思っています」と木村氏は語る。

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