生活者の声に耳を傾け、生活や社会の課題を解決する
KDDI research atelierは、KDDIとKDDI総合研究所が2020年8月に策定した「KDDI Accelerate 5.0」の構想を基に、生活者や社会の中期的課題の解消と、生活者一人一人に最適化されたライフスタイルの実現を目指すための調査・応用研究拠点として開設された。
「KDDI Accelerate 5.0」は、政府が目標に掲げる「Society 5.0」(経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会)の実現を5Gで加速する、KDDIグループの次世代社会構想である。
具体的には、ネットワーク、プラットフォーム、ビジネスの三つのレイヤーの環境整備と、その実現を支える七つの分野のテクノロジー(ネットワーク、セキュリティー、IoT、プラットフォーム、AI、XR、ロボティクス)の研究開発。さらには、これらのテクノロジーが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発により、フィジカル(現実)空間とサイバー(仮想)空間の高度な融合を実現し、新たなライフスタイルの確立と日本の経済発展・社会的課題の解決が両立する未来社会を目指している。
KDDIには、ICT(情報通信技術)分野の基礎研究をリードするKDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市)があるが、KDDI research atelierは、先述の7分野における同研究所の基礎研究成果を、生活者のための具体的なサービスやソリューションに落とし込んでいく役割を担う。
「『KDDI Accelerate 5.0』の構想に基づき、未来の多様なライフスタイルに対応したサービスやソリューションの種を作り、実証実験で育て上げ、社会への実装に結び付けていくのがわれわれKDDI research atelierの仕事です」と、木村氏は説明する。
KDDI research atelierには、KDDIグループのシンクタンクであるKDDI総合研究所に所属している研究者、技術者など約80人が配属された。これらのスタッフは、研究開発を進める傍ら、同拠点を訪れた人々に展示内容の説明も行っている。研究者や技術者が、訪問者のアイデアや要望に直接耳を傾け、改善に生かせるようにするためである。
研究内容の選定については、「あくまでも生活者の視点で選んでいます」と木村氏は語る。KDDI research atelierの研究者が、生活者にインタビューを行い、「10年後のライフスタイルはどうあるべきか」といった点について、さまざまな意見をヒアリングしている。その中から、生活者や社会の中長期的な課題の解消に結び付きそうなテーマを優先的に選んでいるという。
ニーズにかなった研究内容を選ぶためには、より多くの生活者の声に耳を傾けることが必要だ。「企業や研究機関の方だけでなく、生活者も気軽に訪問できる開かれた研究拠点にしたいと思っています」と木村氏は言う。
技術力と共創の精神で、レジリエントな未来社会づくりを目指す
KDDI research atelierが入っている東京 虎ノ門の複合オフィスビルの近くには、企業のDXを支援するKDDIの法人部門と、5GやIoTなどを使った新規ビジネスの共創を目指す「KDDI DIGITAL GATE」も拠点を構えており、KDDIグループはこの三つの拠点を「虎ノ門トライアングル」と呼んでいる。
木村氏によると、それぞれの役割は「法人部門は直近の課題に対する支援。KDDI DIGITAL GATEは、数年後を見据えた企業のDX支援。KDDI research atelierは中長期を見据えた生活者や社会の課題解決支援」に位置付けられるという。
「これは主たるお客さまや時間軸の違いによる役割分担ですが、『Society 5.0』の実現に向けて世の中のDXを加速させるというKDDIグループとしての使命に変わりはありません。三つの拠点が緊密に連携し、それぞれの知見や技術を融合させることで、より良いサービスやソリューションを生み出していくことを目指しています」と木村氏は語る。
KDDI research atelierの今後の展開について木村氏は、「未来のライフスタイルを創造しようと取り組むことは、そのままDXの推進に結び付きます。パートナー企業さまのDXを支援するためにも共創の輪をどんどん広げていきたいと思いますし、虎ノ門だけでなく生活者との実証実験拠点を展開することや、海外企業とのコラボレーションも視野に入れています。2030年に向けて新しいビジネスやライフスタイルを創出したいと考えている企業さまは、ぜひご相談ください」と語った。
KDDIの三つのオープンイノベーション拠点が集結した「虎ノ門トライアングル」からどのような未来が生まれてくるのか。企業の注目度が高まりそうだ。
KDDI research atelier│KDDI総合研究所
https://rp.kddi-research.jp/atelier/
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