2021年3月1日、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマの代表取締役社長に關口修平氏が就任した。46歳での社長就任は注目を集めたが、それ以前はヤンセン台湾のマネージングディレクター(社長)であり、米国やオーストラリアなどでもキャリアを積んできたことから考えれば、そう驚くことではないのだろう。その關口氏にトップとしての心構えを聞いた。
日本市場に新薬を普及させるため、さらなる成長に挑む
關口修平社長がジョンソン・エン ド・ジョンソン(J&J)グループに入社したのは、2004年のことだった。米国オーソ・バイオテック・プロダクツL.P.社やセントコア社でマーケティングに従事した後、オーストラリアや米国本社など、グローバルな環境でキャリアを積んできた。そうした中、日本のヤンセンファーマには11~14年、16~19年に在籍。今回の社長就任で、3度目の日本勤務となる。
「就任してまだ半年足らずなので、まずは社内外の方々の声に耳を傾けることに注力しています。例えば、日本法人横断で社員と直接対話するプログラム実施しており、そのオンライン会議の場では社員たちが自身の強みやニーズ、会社への期待等を寄せてくれます。さらに患者さんたちのアンメットニーズ(まだ治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)や、どんな将来に期待を寄せているのかなど、データだけでは分からない声も聞き逃さないように気を付けています。そうやって丁寧に構築した全体像やビジョンに基づいて、グローバルが日本法人に求める役割や価値とのバランスを取りながら、具体的な事業戦略を浸透させていきます」と語る。
ヤンセンファーマは、世界約150カ国に約4万人の従業員を擁するグローバルな製薬会社で、1978年に発足した日本法人では、がん、免疫疾患、精神・神経疾患(中枢神経・疼痛)、感染症・ワクチン、肺高血圧症の5つの疾病領域を中心に、さまざまな医薬品を提供している。
日本の医療用医薬品市場規模は、約10.4兆円(2020年/IQVIA発表)と、ヤンセンにとって重要な市場の一つだ。だが、世界の医療品市場に占める日本の市場規模は10%未満と、決して大きくはない。しかも、日本の医薬品市場規模は15年に10兆円の大台を超えたものの、その後は横ばいから減少に転じ、市場縮小も予測されている。その日本市場において、ヤンセンファーマは、これまで着実に新薬を上市し成長してきたが、今後の日本市場の動向を見据えたとき、さらなる成長へのかじ取りが重要になってくる。
關口社長は、「十分な投資を確保することは、アンメットニーズに応える新薬を日本の皆さんに提供し続けていくために不可欠です。そのためにも患者さんの声に積極的に耳を傾け、われわれがさらに寄り添えることを考えた上で、今後もしっかりと成長し、グローバルにおける日本法人のプレゼンスを高めていきたい」と抱負を語る。