企業に変革を提言して株価を高め、リターンを追求する「マネックス・アクティビスト・ファンド」の運用が好調だ。自ら投資先と対話を重ねるマネックス証券・カタリスト投資顧問の松本大取締役会長に、その想いを聞いた。

──「マネックス・アクティビスト・ファンド」は、個人投資家の意見を反映した変革を、松本会長が投資先企業に提言し、その実現によって企業の成長と投資家へのリターンを追求する投資信託です。

企業の変革を後押しできる、対話と相互理解を重視するアクティビスト・ファンド松本 大
マネックス証券
カタリスト投資顧問
取締役会長
まつもと・おおき■1963年生まれ。87年東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券入社。90年ゴールドマン・サックス証券入社。99年にソニーと共同でマネックス証券(現マネックス)を設立、代表取締役に就任。2004年マネックスグループ代表取締役社長、05年マネックス・ビーンズ証券(現マネックス証券)代表取締役社長就任。

松本 2019年新春に行われた経済団体の賀詞交歓会でのテレビインタビューに、大手証券会社社長が、今年の相場はどうなるかと問われて「まぁ、横ばいでしょう」と答えたのです。

 証券会社は、株式市場を活性化して株価を上げ、投資家にはリターンを、企業にはエクイティコストの低下をもたらし、ひいては日本の国際競争力を高める役割を担っているはず。そうした当事者意識がなく、まるで他人事のように相場を予想していることに怒りを覚えました。

 しかし、翻って見てみると、果たして自分たちはその役割を担えているのだろうかという疑問が湧いてきました。マネックス証券は、創業以来、オンライン取引という新たな取引方法を普及させ、ETF(上場投資信託)などの分かりやすい投資商品を扱うことで、個人投資家とマーケットの距離を縮め、投資を身近なものにしてきました。

 ところが、ETFなどのインデックス型ファンドが一般化した結果、個別株に目を向ける投資家が少なくなってしまった。

 個々の会社が元気じゃないとインデックスは上がらないし、日本経済も強くなりません。そこで、原点に返って個人投資家が個別企業に注目し、経営やビジネスの変革を促すことで、企業価値や株価を上げていくファンドを創ろうと考えたのです。