セキュリティ脅威が複雑化・高度化し、いっぽうで働き方が多様化する中で、境界防御のセキュリティ対策では、もはや十分な効果を得ることはできない。ゼロトラストを前提に、従来の対策を見直す必要がある。こうした考え方を10年以上前の創業時から貫いてきたのが、ゼットスケーラーだ。クラウドベースの同社のセキュリティソリューションに、時代が追い付いてきたともいえそうだ。
ビジネスの戦略段階から
セキュリティ対策を考える
SAPジャパンに新卒で入社、30歳からマネジメント職を歴任。2014年、ミスミグループ本社でGMとしてグローバルDX新規事業を推進後、AI/チャットサービスを提供するライブパーソンの代表取締役に就任。2020年12月、ゼットスケーラーの日本を含むアジア全体を統括する代表取締役に就任。
コロナ禍という大きな環境変化によって、企業のデジタル活用力の差が浮き彫りになっている。
「テレワークに迅速に移行し、効率的な働き方を実現している企業がある一方で、テレワーク導入に苦労している企業、導入したもののうまくいかず効率が低下した企業も見受けられます」と語るのは、ゼットスケーラー代表取締役の金田博之氏だ。
金田氏の言うように、日本企業のIT活用は二極化しているように見える。取り組みが遅れている企業に共通する課題として、同氏は「後追いのセキュリティ対策」を指摘する。
CEOが「DXを本格化せよ」と言えば、CIOは攻めの施策を加速するだろう。しかし、戦略にセキュリティ対策が埋め込まれていないため、後になって問題が表面化し、手戻りが発生したりする。プロジェクトの停止や情報漏えいなどで大きなダメージを受ける可能性もある。
「クラウド活用においては組織のサイロに落とした個別の後追い対策ではなく、ビジネスの戦略段階から“ユーザーやデバイスのロケーションに依存しない”セキュリティ対策をセットで考える必要があります」と金田氏は強調する。
特にDXでは、システムやデータを守るセキュリティ対策は不可欠。しかし、日本ではIT部門とセキュリティ部門の連携が不足していることが少なくない。これでは、デジタル施策のスムーズな実行は難しい。
「私たちは企業のCIOとCISO(最高情報セキュリティ責任者)、関連部門と連携し、セキュリティ対策を埋め込んだグランドデザインづくりを支援しています。専門家としての知見を提供し、中長期的なプランに落とし込んでいます」(金田氏)
上流におけるサポートは、ゼットスケーラーの強みの一部にすぎない。最も大きな優位性は、ゼロトラストを前提としたセキュリティソリューションそのものにある。