1592年に開学した「学林」に起源を持つ駒澤大学。比類のない歴史の中で学びの軸となってきたのは、仏教の教えと禅の精神。駒澤大学の“今”を紹介する全4回連載の第2回は、知の情報発信基地として駒澤大学を象徴するユニークな「禅文化歴史博物館」と2022年オープン予定の「新図書館」を紹介する。
曹洞宗により設立された「学林」から始まった駒澤大学のオリジンは、仏教の教えと禅の精神にある。仏教は、物事の本質の洞察に基づいて、あらゆるものを大切に扱う心を教えてくれる。この洞察を“智慧(ちえ)”、その心を“慈悲”という。駒澤大学では、さまざまな学問を深く広く探究することを通して、その智慧を磨き、慈悲の心を育んでいくことを目指している。
国内でも唯一無二の
「禅文化歴史博物館」
駒澤大学には、仏教と禅を身近に感じられる環境が整っている。その一つがキャンパスの一角にある「禅文化歴史博物館」だ。1928年に図書館として造られ、東京都選定歴史的建造物にも選定されている「耕雲館」を利用した博物館で、禅をはじめとするさまざまなコレクションを所有している。代表的な収蔵品は、曹洞宗の開祖である道元禅師の主著『正法眼蔵』。道元禅師の直筆は希少であり、国内屈指のコレクションとして博物館の宝玉となっている。
村松哲文
禅文化歴史博物館長(仏教学部教授)
「ここは、禅の歴史と文化を知るための国内唯一といっていい博物館で、日本の文化に影響を及ぼした禅に関する展示物を多く取りそろえています。新入生セミナーでは博物館見学があり、学生たちは駒澤大学のオリジンを自分たちの目で確認できます。現在はサイバーミュージアムも構築中で、世界に禅を発信する基地としての役割も果たしていこうと考えています」
そう説明するのは、館長の村松哲文・仏教学部教授である。
館内の中央には、江戸時代に造られた一仏両祖像が鎮座。万華鏡のような天井のステンドグラスから柔らかな光が差し込み、キャンパス内の異空間を醸成している。